徒歩・自転車・公共交通への転換
──道路作りは100年という長期的なスパンで考える必要があるとのお話しでしたが、環境問題は今やひっ迫した状況にあります。100年後に二酸化炭素の排出量を6%削減できればいい、というわけにはいきません。そこはどう考えればいいのでしょうか。

東京大学 大学院工学系研究科 社会基盤学専攻 家田 仁教授
家田 仁 教授(以下、敬称略): まずは交通の需要についてお話しましょう。
交通の場合は、片道を1トリップとして数えます。自宅と会社の往復だけなら2トリップですが、どこかへ立ち寄ることが多いので、1人が1日あたり3トリップから4トリップするのが普通です。
このトリップを分析すると、交通の需要は通勤や通学、買い物における短距離トリップが圧倒的に多く、交通全体に与えるインパクトも大きいのです。環境に対しても同様ですから、短距離トリップをどうやってエコにするかが最大のテーマになります。
環境フレンドリーな交通手段は「徒歩」「自転車」「公共交通」が御三家ですから、町中でのクルマの利用を抑制し、この御三家に転換できれば、かなりの問題が解決されると思います。
――しかし、バスや鉄道といった公共交通網が整備されているのは東京や大阪など、限られた地域だけですよね。
家田: 東京や大阪は確かに公共交通網が発達しています。まあ、世界に誇れるレベルと言えますが、世界にはもっと面白いことにトライしている都市もあります。
代表的な事例が、フランスのパリで始まった「ベリブ」というレンタサイクルシステムですね。山手線の内側くらいのエリアに1800カ所ものステーションがあり、200メートルも歩けば、最寄りのステーションにたどり着けるようになっています。うまく使えば1日1ユーロで乗り放題という料金設定も魅力です。
こうした大胆な施策が、日本の都市交通にあるかというと、まだまだです。
スイスには会員数7万人を誇る「モビリティ」という、世界最大のカーシェアリング会社がありますが、数百メートルおきにパーキングがあって、会員カードだけで簡単に利用できます。東京や大阪では、週末に使うか使わないかのためにマイカーを持つ人がいますから、こうしたカーシェアリングシステムが発達してもいいでしょう。
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