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100%はあり得ない中で
いかにバランスよく伝えていくか

――ベースの考えとしては、IPCCの出した第4次報告書を「正しい」ととらえていくのが世の中の趨勢(すうせい)であるし、また、ミスは少ないだろうということですね。

江守:  そうですね、少ないでしょうね。ただ、地球を相手にする科学において、100%というのはなかなかありません。

例えば、IPCCはこのまま放っておくと、気温は1.1度から6.4度上がると報告しています。でも、そんなに上がらない可能性もゼロではないし、あるいは、もっと壊滅的に上がってしまう可能性もゼロではないわけです。だから、両極端の議論を全く否定してしまわない方がいいと僕は思っています。

そうはいっても、今の科学の知見をバランスよく見た中で「可能性が一番高いのはここだよ」ということをきちんと伝えたうえでないと、「でも、こういう可能性もある」という話しにはならないですよね。そういった意味で、少なくとも「もしかしたら温暖化にはならないかも知れない」という話が、IPCCの結論と対等に並ぶのはおかしいんです。

「こちらの根拠は十分ある。でも、一応こういう可能性もゼロではないから、こちらも調べようか」──そういう問題意識を持つのであればいいと思いますよ。


――それが、研究者、学者のとるべききちんとした立場である、と。

江守:  どうしても、極端な意見というのは、聞く人が「おっ!?」と思うので、世間に浸透しやすい性質があります。一方で、バランスの良い意見というのは、正確に言おうとするとすごくややこしく、まどろっこしくなり、伝えづらいんです。

だからこそ、いかにこちらの意見を世間に浸透させていくか……。それが今、僕らが考えている大切なことのひとつですね。

――ありがとうございました。

国立環境研究所 地球環境研究センター 温暖化リスク評価研究室長 江守 正多 氏

国立環境研究所 地球環境研究センター
温暖化リスク評価研究室長 江守 正多 氏

(前編はこちらから)

江守 正多(えもり・せいた)氏

略歴

1970年神奈川県生まれ。
東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。
1997年より国立環境研究所に勤務。
2006年より国立環境研究所地球環境研究センター温暖化リスク評価研究室長。
海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センターグループリーダー
ならびに東京大学気候システム研究センター客員准教授を兼務。
専門は気象学、特にコンピュータ・シミュレーションによる地球温暖化の将来予測。

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