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自分たちで作り、次世代へ引き継ぐ国土として

――それらは道路が“当たり前になり過ぎた”ことの弊害と言えそうですね。

家田:  最近は少しずつ文化を育てようという施策が始まっています。国土交通省の「日本風景街道」という取り組みをご存知ですか。これは、地域に貢献する道路を作ろうというものです。

道路を作ると言っても、大々的に建設するわけではなく、地域の創意工夫をベースに少しずつ改善して、道路と上手に付き合っていくことが目的です。道路沿いに美しい風景が広がる場所があれば、そこにクルマを止めるスペースを作り、風景をさえぎる看板があればそれを取り除き、街道を通じで地域を楽しんでもらおうというわけです。

残念なのは、これらがわずか数年前からの取り組みだということ。道の駅にしても、始動から15年くらいの歴史しかありません。便利一辺倒の道路作りからの転換としては評価できますが、せめて20年くらい前から始まっていれば、国民の道路に対する意識はもう少し違っていたと思います。


――具体的には、どう違っていたと思われますか。あるいは、どのような意識を持つことが理想だと?

東京大学 大学院工学系研究科 社会基盤学専攻 家田 仁教授

東京大学 大学院工学系研究科 社会基盤学専攻 家田 仁教授

家田:  道路は国土を形成するものですから、ただ使うのではなく、自分たちの手で作り、育て、子孫に引き継ぐという意識を持つことが重要だと思います。つまり、道路は自分たちのものだという意識です。国民がその考えを持っていれば、道路特定財源の問題も、もっと違った議論になったかもしれません。

しかし、現実には道路族の天下りだの、ミュージカル上演などの無駄遣いだの、そういった話題ばかりがクローズアップされています。マスコミはどうしてもセンセーショナルな部分から伝えますし、国民もそれを求めているのですから、どちらにも少なからず責任があるのではないでしょうか。

海外の研究者たちは「日本はどうして道路作りという大切なテーマに対して、些末な問題から議論を始めているのか」と不思議がっていましたよ(苦笑)。大切な税金が関わる問題ですから、些末だとは言っても切り捨てるわけにはいかないでしょうが、今回の騒動を見ていると、根源的な部分が忘れ去られているのではないかと、心配になってきますね。

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