より良いクルマ社会のために
――クルマを知ることはエコだけでなく、自分自身の身を守ることにもつながるのですね。
中谷: 事故を起こせば周囲にも迷惑がかかりますから、クルマを知ってもらうのと同時に、もっとドライバーのモラルが向上することを願っています。
運転は「人間」「クルマという機械」「走る道」という3つのインターフェースの上に成り立ちます。クルマに乗る人がそのことを理解しないと、本当に良いクルマ社会にはなりません。
「人間」に求められているのは運転の技術、クルマに関する知識、そしてモラルです。どれだけクルマが進化し、道路事情がよくなろうとも、それらが欠落していては意味がない。例えば、ごく普通のクルマでもきちんとアイドルストップすれば、アイドリングしたままの軽自動車よりもずっと燃費がよくなり、環境にも貢献できます。
要は、そういった意識を持つことができるかどうかでしょう。私は高い意識を持つドライバーを「E級ライセンス保持者」と呼んではどうかと考えているんです。レースの世界ではA級からC級までライセンスがあり、その取得のために選手たちは励んでいますから、一般のドライバーの方々にはECOの頭文字を冠したE級ライセンスの取得を目指してほしいですね。
――E級ライセンスですか。それは面白いですね。
中谷: レースのライセンスと違って公的資格ではないし、テストもなければ、誰かが認定するものでもありません。大切なのはドライバー一人ひとりの意識です。自分に合ったクルマを選ぶことも、アイドルストップなどのエコドライブを実践することも、クルマの機構を理解することも、モラルを高めていくことも、すべてE級ライセンスの条件となります。
そうやって「人間」は全員がE級ライセンス保持者に、「クルマという機械」はより一層環境負荷の低いクルマに、「走る道」はスムーズにクルマが流れる道路になったら、もっとエコなクルマ社会が実現できると思います。

レース&テスト・ドライバー 中谷 明彦 氏
――ありがとうございました。
デビュー戦でポールポジションを獲得し、以後入賞多数。同時に自動車関連のマスコミにも所属し、ジャーナリスト活動を展開。
卒業後は自動車専門誌編集部員となり、1985年にプロフェッショナルレーシングドライバーに転向。
89年から日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員を務めるほか、ジャーナリストとして多くの雑誌媒体に寄稿し、ベストモータリング・ビデオ・マガジン(講談社刊)の専属レギュラーキャスター、編集顧問を歴任。レーシングカーを始め、あらゆる高性能4輪自動車の限界性能の解析、追求を得意分野とし、タイヤやエンジンのメカニズムにも精通。
特に自動車の挙動特性の理論的分析には定評がある。
97年から、こうしたドライビング理論の流布を目的にドライビング理論研究会「中谷塾」を主宰、現在に至る。
レーサーとしては、80年より国内のレースで多くの好成績を収めた後、88年に全日本F3チャンピオンを獲得。
89年にル・マン初参戦、マカオGP・F3で4位、91年に全日本F3000優勝、以降国内S耐レースで50勝を記すなど華々しい結果を残している。
▼中谷明彦オフィシャルホームページ
http://www.mirage.co.jp/nakaya/
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