ガソリンとディーゼルのどちらがエコ?
――欧州といえばディーゼルが主流ですが、今年から日本でもディーゼル市場が本格的に立ち上がりそうです。一般にディーゼルは燃費がよく、二酸化炭素排出量削減に貢献することが期待されていますが、どのように見ていらっしゃいますか。
中谷: ガソリン車同様、燃費はユーザーの乗り方や使い方次第で変わりますから、「ディーゼルだから、どんな使い方をしても燃費が優れている」とは言えないと思います。ディーゼルが増えればエコになるというような、単純な話ではないでしょう。
日本メーカーがディーゼルの開発を進めているのは、欧州市場でのシェア拡大のためです。欧州で売るにはディーゼルを作らなければならず、その開発コストを分散するために、日本でもディーゼルを販売したいと考えているのです。
ガソリンとディーゼルは根本的な仕組みが違うので、同じモデルでも、開発は別々に行います。投資コストや開発・製造におけるエネルギーを最小限にするには、1つのモデルでガソリンとディーゼルの両方を作るのではなく、あるモデルはガソリン、あるモデルはディーゼルとする方がいいと思いますね。欧州は基本的にディーゼルで、一部の高級車やスポーツカーがガソリンと、明確に分かれています。
――ガソリンとディーゼルのどちらを選ぶとエコか、という議論は必要ないようですね。ユーザーはやはり自分のライフスタイル、ライフステージに合ったクルマを選ぶことが重要だと……。

レース&テスト・ドライバー 中谷 明彦 氏
中谷: その通りです。そして、ユーザーにはもう少し、クルマのことを知ってほしいと思います。なぜ走るのか、なぜブレーキを踏むと止まるのか、なぜタイヤには適正空気圧が設定されているのか、基本的な仕組みは理解しておくほうがいいでしょう。
例えば、水の多い路面でタイヤがスリップするハイドロプレーン現象を、正しく理解しているでしょうか。この現象は重いクルマだと起こらないと思われがちですが、それは誤解です。
ハイドロプレーン現象は「63×ルートP」という計算式で導かれた速度で起こります。変数Pはタイヤの空気圧で、車体重量は関与しません。乗用車の多くは適正空気圧が2kgf/cm2前後ですから、理論上は70km/hくらいで起こるというわけです。
一方、大型車は重い車体を支えるために、空気圧が高く設定されています。4tトラックだと適正空気圧が4 kgf/cm2くらいなので、140km/hで起こる計算ですが、4tトラックはそこまで速度が出ません。だから、重いクルマはハイドロプレーン現象が起きないと、誤解されているのだと思います。
空気圧が下がっていると、設定値より低い速度でハイドロプレーン現象が起こりますから、タイヤは適正空気圧を保ちましょう。その方が燃費にもいいです。なお、タイヤのミゾは15mm程度。水深20mmの水たまりでも起こり得るので、十分注意してください。
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