中古車を賢く選ぶために
――どちらもいわゆる高級車ですよね。
中谷: ポルシェが2000万円、BMWが1500万円のモデルですから、クルマを仕事にしている私でもさすがに新車は手が出ませんが、実はどちらも中古で買ったので、合計1000万円程度です。
特にBMWはお買い得でした。2001年製の「BMW750」という車種で、130万円で購入しました。状態の良さにはこだわりましたが、買ったのはごく普通の中古車販売店です。特別な値引きをしてもらったわけでもありません。
――新車の1割以下ですか。それはすごい。でもあまりに安いと、何か不具合があるのではと思ってしまうのですが……。
中谷: そんなことはありませんよ(笑)。多少のメンテナンスはしましたが、ちゃんと1500万円のクオリティは保たれています。ただ、日本車でもそうだとは限りません。
BMWの場合、20年、50万kmでも問題なく走ります。BMW750は日本であまり人気がないモデルなので、中古車価格が下がりましたが、欧州なら中古車でも新車と同等の走りをすると認められていますから、これほど値崩れはしていません。
そもそも日本とドイツでは償却の考え方が違います。日本では「10年、10万km」が1つの目安。中古車市場ではよほどの人気モデルでない限り、発売から6年も経つと価値ゼロと見なされ、値が付きません。だから私もBMW750をあの値段で買えたわけです。
日本はあらゆる製品に対して大量生産・大量消費でここまで来ました。クルマは年数が経つと市場価値がなくなるので、お金がある人はどんどん買い換えて、そうじゃない人は中古車を5万円、10万円で買うという流れができてしまったのです。自動車メーカーも償却期間を念頭に開発をしています。
一方、ドイツを始め欧州では中古で買っても、10年でも20年でも乗れるクルマ作りをしてきました。だから信頼が置けるんですね。古くなれば当然何かしらの不具合が出ますが、最初から長く乗ることを想定しているので、壊れる部分と壊れない部分が明確に分かれています。時期が来たらエンジンを換えて、次はミッションを換えて……、そうやって長く乗るのが当たり前なんです。
だから、日本のように誰も彼も高額のローンを組んで新車を買うことはしません。中古車でも十分乗れるのだから、自分の経済状態に合わせて買えばいい、という発想です。クルマ作りという意味でもマーケットの育成という意味でも、欧州の中古車事情には学ぶべき点が多いですね。

レース&テスト・ドライバー 中谷 明彦 氏
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