9割のユーザーが正しくクルマを選ぶために
――ディーラーはメーカーの系列店ですから、他社製品の欠点を指摘することはあっても、勧めることはないですからね。ユーザーがカタログ燃費を重視するのは、そういったことも背景にありそうです。
中谷: 家電の場合は、量販店に行くとあらゆるメーカーの製品が並んでいて、販売員が中立的な立場から相談に乗ってくれます。クルマもそうできればいいのですが、現状の販売システムでは難しいでしょう。新車に限らず中古車も同様で、販売店は顧客の予算や希望を聞いた上で、自社のネットワークで調達可能なクルマから順に勧めます。

レース&テスト・ドライバー 中谷 明彦 氏
ディーラーにせよ、中古車販売店にせよ、売りたいクルマが決まっていますから、相談したところで、ライフスタイルやライフステージ云々の話にはなり得ません。このくらい値引きできるとか、オプションをサービスするとか、価格交渉の話に尽きるんです。
クルマが趣味という人たちは別で、自らネットや雑誌で調べて、好みのクルマを選んでいます。彼らはエコの視点でクルマを見てはいませんが、趣味のクルマ選びは許容されるべきだし、カスタムカーのような乗り方は全体から見れば1割以下程度に過ぎません。
環境に与えるインパクトは、残る9割以上のユーザーがどういうクルマ選びをするのか、そちらの方が大きい。販売する側が適切なアドバイスをできないのだから、日本自動車連盟(JAF)や自動車工業会のような団体が、相談窓口を設ければいいのではないかと思っています。
――中谷さんご自身は普段、どのような視点でクルマを選んでいるのですか?
中谷: 私はクルマを評価するのが仕事ですから、その評価軸がぶれないようにするために一番良いと思うクルマを選んでいます。今所有しているのはBMWとポルシェです。
BMWは丈夫でハンドリングもいいし、走行抵抗が少ないのも魅力です。普通は走行抵抗を低減すると、乗り心地が硬かったり音がうるさかったりするものですが、BMWはそこも考慮して、乗る人が快適でいられるクルマ作りを徹底しています。目を閉じて乗っても、BMWのクルマはすぐにわかりますよ。プレハブ住宅と鉄筋マンションでは同じ大きさの室内でも静粛性とか佇まいがまったく違うでしょう。それと同じ感覚ですね。
一方のポルシェは速さと耐久性を備えています。24時間、サーキットを全力で走行しても壊れないことを条件に開発していますから、そこには絶対の信頼があります。
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