源流の知恵を科学的に検証
学問としての確立を目指す
中村: 活動の柱の3つ目は、上下流交流です。実際に小菅村に来ていただくことが重要ですから、四季折々のイベントやプログラムを用意しています。それから4つ目が、「森林再生プロジェクト」という健全な森をつくるための取り組みですね。
最後の5つ目は、仲間をたくさん作ることです。先ほど少しお話した「NPO法人 全国源流ネットワーク」の代表をやっているのもそうですし、多摩川全域の市民・団体が連携する「多摩川流域ネットワーク」でも副代表をやっています。あとは「多摩川源流自然再生協議会」と、多摩川源流にある4市町村(甲州市、小菅村、丹波山村、奥多摩町)で構成している「多摩川源流協議会」の事務局長ですね。
とにかく、どんどんネットワークを広げていくこと。小菅村だけが頑張っても、良くならないんですね。だから多摩川全域、全国の源流全域が皆、一緒に手を取り合って、社会を変えていこうじゃないか、と。そういう“川のネットワーク”を広げています。
――まさに「川は絆」ということを実践されているわけですね。

多摩川源流研究所 所長 中村 文明 氏
中村: もう1つ、新しい取り組みとして「源流大学」があります。“大学もどき”ではない、本物の大学を作ろうということで、東京農業大学と協力して始めました。
せっかく源流に来ても、「きれい」とか「気持ちいい」「清々しい」だけでは、なかなか本当の価値が伝わらないんですね。けれど科学的に調査して、データで裏付けていけば、目の前にあるものを客観的に評価できるようになります。
土壌の組成1つとっても、地域料理の調理法や栄養バランスの1つ1つにしても、科学的な知見から説明できれば源流の価値を再認識できるし、もっと新しい見方も生まれてくるでしょう。
――そもそも源流の知恵や文化というのは、長年かけて培ってきた経験の積み重ねですから、科学的に検証しても合理的だったり、意味があることだったりするのでしょうね。ただ、そこに暮らす人々にとっては当たり前すぎるから、その価値に気付いていないだけで。
中村: その通りですね。元々、源流は単に「水や森が大事」というだけではない、もっと大きな価値や役割があるんですよ。それを「源流学」として体系化していけば、きちんと発信していくこともできるようになります。
学問として確立できれば、大学生が実際に源流に来て、体験して、勉強して、単位をもらって卒業する、“本当の大学”ができます。単にビジネスとして環境への配慮をアピールするような人間ではなく、環境の大切さを分かりやすく語れる本当のリーダーを育てていきたいですね。
▼関連サイト
多摩川源流研究所
山梨県小菅村
東京農業大学 源流大学
東京農業大学
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中村 文明(なかむら・ぶんめい)氏
多摩川源流研究所 所長
略歴
1983年~2001年 中村英数塾経営
1987年~2000年 塩山市教育委員会・大藤公民館主事
大藤公民館館長(塩山市館長主事会副会長・主事会会長)
1994年12月7日 多摩川源流観察会結成、会長
2001年4月8日 多摩川源流研究所設立、所長
2002年5月25日 全国源流ネットワーク設立、代表
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