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「キレイ社会の落とし穴」に気付き
意識して生活を変えていこう

――現在、アレルギー疾患等で悩んでいる方が日本中に大勢います。彼らにとっても、そのような意識を持って生活することが、体質改善への打開策となるのでしょうか?

藤田:  そうですね。今申し上げたことや、抗生物質、殺菌剤、防腐剤をなるべく使わないこと。そして、自然と触れ合うことが大切です。なるべく歩き、腸内細菌のえさである穀類、豆類、野菜類の手作りの食品を食べ、身体にあった良い水を飲みましょう。そして“ポジィティブ”に生活しましょう。制約条件が色々ある現代の日本社会でも、私は打つ手はいっぱいあると思うのです。

私たち人類は、文明や文化を“良い”と考えている珍しい生物です。したがって、私たちはより清潔な環境、快適な環境、効率的な環境を求めることでしょう。それは仕方がないことです。

しかし、そこには「落とし穴」があるんですね。私はそれを「キレイ社会の落とし穴」と呼んでいます。事実、「文明が人類の老化を進めている」ことは世界の学者すべてが指摘しているのです。

とはいっても現代において、私たちはキレイな社会や快適な環境に住まざるをえません。ですからその文明社会の中で、1万年前の環境のいくつかでも取り入れていく努力が必要なのです。そうすれば、きっと日々の暮らしと健康面に変化が現れると思います。そしてそれは、環境破壊の抑止にもつながっていくことでしょう。


過剰な清潔志向が進む日本社会に警鐘を鳴らし、「1万年前の暮らし」を提唱する藤田教授の著書「原始人健康学―家畜化した日本人への提言」(新潮選書)

過剰な清潔志向が進む日本社会に警鐘を鳴らし、「1万年前の暮らし」を提唱する藤田教授の著書「原始人健康学―家畜化した日本人への提言」(新潮選書)

――なるほど。ただ、あまりストイックに“1万年前の環境”という理想を追求し過ぎると、逆にストレスになってしまいますよね。

藤田:  現実として、何もかも1万年前の状態に後戻りさせることは不可能ですからね。だから、まずは1万年前の暮らしを“意識”した方が「お得」だと考えるだけでいいのです。

これはいけない、あれも良くない……と無理をすると逆効果でしょう。程度を考えた上で、自然体で生活をすればいいのですよ。好きな酒や食べ物を極端に我慢すると、逆にストレスで病気になったという実際例もありますから(笑)。

ともあれ、食生活は人間の健康の基本です。だから腸内細菌の餌を少しでも多く入れてあげることを意識してください。“寄生虫博士”と呼ばれる私としては、これが基本中の基本のエコ活動ですね。

医学博士 藤田紘一郎氏

医学博士 藤田紘一郎氏

(前編はこちらから)

藤田 紘一郎(ふじた・こういちろう)氏

経歴

医学博士。専門は寄生虫学、感染免疫学、熱帯病学。1939年、中国東北部(旧満州)に生まれる。現在、人間総合科学大学教授、東京医科歯科大学名誉教授。また寄生虫を中心とした数10冊に及ぶ著書を発表。テレビ出演や講演も数多く、そのユニークな視点と語り口から“寄生虫博士”と呼ばれて多くの人々に親しまれている。


主な著書

『笑うカイチュウ』『空飛ぶ寄生虫』『体にいい寄生虫』(講談社文庫)、『原始人健康学』『水の健康学』(新潮選書)、『清潔はビョーキだ』(朝日文庫)、『ヒトとイヌと寄生虫の愉快な関係』(成美堂出版)、『バイキンが子どもを強くする』(婦人生活社)、『からだに良い水・悪い水』(小学館文庫)、『ニッポン「亜熱帯」化宣言』(中公新書ラクレ)、『子どもの免疫力を高める方法』(PHP)、『知られざる水の「超」能力』(講談社+α新書)、『ばっちいもの健康学』(廣済堂)、『病気に強い人・弱い人』(幻冬舎)などがある。

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