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体の洗い過ぎに要注意!
皮膚を弱める過剰な「キレイ」志向

――今から江戸時代の暮らしに戻ることは不可能です。とはいえ、現代人の清潔志向は度が過ぎているとも感じられます。

藤田:  おっしゃる通り、今の日本社会は「キレイ」を追求し過ぎですね。理由は、「キレイ」がビジネスになるからです。お金になるから、抗菌や消臭の商品が売れるのです。

しかし、これは本来人間の体から出る物質や匂いを否定する行為に他なりません。例えば近年話題の「加齢臭」とは、子供を安心させるために父親や祖父が発する匂いです。また制汗剤もはやっていますが、これを使い過ぎると汗をかかなくなってしまいます。そういうことを繰り返していると、結局は人間が自分の体を弱めてしまうことになるのです。

お風呂も同じです。最近は1日に何度も体を洗わないと気がすまないという人が増えているようですが、人間の皮膚の表面には悪質な微生物やアレルゲンから身を守る「皮膚常在菌」がいます。皮膚常在菌は表皮ブドウ球菌、ニキビ菌、真菌類など約10種類存在しますが、体を洗い過ぎると、この菌がなくなってドライスキン(乾燥肌)となり、アレルギーなどにかかりやすくなるのです。皮膚常在菌が弱ってくると白血球が活性酸素を出して処理します。この活性酸素が、皮膚を弱めるのです。

正常な肌とドライスキンの比較図

正常な肌とドライスキンの比較図

ちなみに、皮膚常在菌は一度石鹸で体を洗うと90%もなくなることが実験で分かりました。ただし、10%残っていれば、若者ならば約12時間、高齢者ならば約20時間で元の状態に戻ります。ですから、体の洗い過ぎには注意しなければいけません。1日に何度も洗う必要はないのです。最近、大学の皮膚科に通院する患者さんの多くは、体の洗い過ぎに原因があるようです。何でも、やり過ぎはマイナスなんですね。


医学博士 藤田紘一郎氏

医学博士 藤田紘一郎氏

(後編に続く)

藤田 紘一郎(ふじた・こういちろう)氏

経歴

医学博士。専門は寄生虫学、感染免疫学、熱帯病学。1939年、中国東北部(旧満州)に生まれる。現在、人間総合科学大学教授、東京医科歯科大学名誉教授。また寄生虫を中心とした数10冊に及ぶ著書を発表。テレビ出演や講演も数多く、そのユニークな視点と語り口から“寄生虫博士”と呼ばれて多くの人々に親しまれている。


主な著書

『笑うカイチュウ』『空飛ぶ寄生虫』『体にいい寄生虫』(講談社文庫)、『原始人健康学』『水の健康学』(新潮選書)、『清潔はビョーキだ』(朝日文庫)、『ヒトとイヌと寄生虫の愉快な関係』(成美堂出版)、『バイキンが子どもを強くする』(婦人生活社)、『からだに良い水・悪い水』(小学館文庫)、『ニッポン「亜熱帯」化宣言』(中公新書ラクレ)、『子どもの免疫力を高める方法』(PHP)、『知られざる水の「超」能力』(講談社+α新書)、『ばっちいもの健康学』(廣済堂)、『病気に強い人・弱い人』(幻冬舎)などがある。

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