寄生虫感染による
アレルギー抑制のメカニズム
――まず、我々がアレルギーを起こす原因について教えて下さい。
藤田: アレルギーは、例えばスギ花粉やダニの死骸といった特殊な物質が人の体内に入ると、IgE抗体という物質が出来、それが鼻粘膜などの肥満細胞にくっつきます。これに、再び体内に入ってきたスギ花粉やダニの死骸の抗原が結合することによって発症します。
花粉症では、スギ花粉に何度もさらされた人は、体内にスギ花粉に反応するIgE抗体を持ちます。このような人が再びスギ花粉にさらされ、吸い込まれた花粉が鼻粘膜に達すると、そこで肥満細胞に結合しているスギ花粉IgE抗体と花粉抗体との結合が起きるのです。それによって、肥満細胞が破れ、内に入っているセロトニンやヒスタミンといった化学物質が放出されて、アレルギー症状を引き起こします。
この反応が鼻の粘膜で起こると、鼻汁を分泌してくしゃみを連発させます。眼の結膜で起こると、涙が出て目が真っ赤になるというわけです。
アトピー性皮膚炎の場合は、皮膚においてダニ抗原とIgE抗体が結合し、それが肥満細胞と付着すれば発症すると考えられています。
――では、なぜ寄生虫が人のアレルギー症状を抑えるのでしょうか?
藤田: 寄生虫が人に感染すると、理由はよく分かっていないのですが、アレルギー反応の元になるIgE抗体が人の体内に多量に作られます。おそらく、寄生虫が人の体の中で楽に暮らせる環境作りのためにIgE抗体の増加を促進しているのでしょう。
この時に作られる寄生虫由来のIgE抗体はものすごく多量ですが、その大部分はスギ花粉やダニ抗原とはまったく結合しないタイプのものです。我々は、これを「非特異的なIgE」と呼んでいます。

「寄生虫感染がアレルギー反応を抑える機序」
そして寄生虫に感染した人が、スギ花粉やダニ抗原にさらされたとします。この人は既に多量の非特異的なIgE抗体(スギ花粉やダニ抗原などとは反応しないIgE抗体)が既に肥満細胞表面を覆っているので、スギ花粉などが入ってきても、肥満細胞表面のIgE抗体には結合できず、したがって肥満細胞は破れません。だから、セロトニンやヒスタミンなどの化学物質は放出されず、アレルギー反応は起こらないということになるのです。

医学博士 藤田紘一郎氏
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- アレックス・カー氏「田舎のリサイクル」が本物の自然を取り戻す 昔には戻れないから、精神的に「卒業」するべき (2008/10/31)
- 見えてきた!EV本格普及への道[PART1]神奈川県・松沢成文知事インタビュー (2008/10/21)
- 山形大学 大学院 城戸淳二教授(後編)エコな技術、有機ELに注目!来るべき有機ELテレビの時代 (2008/10/21)
- 山形大学 大学院 城戸淳二教授(前編)エコな技術、有機ELに注目!“照明”としての大いなる可能性 (2008/10/14)
- オーシーエス代表取締役 中道雅幸氏 環境時代が求めた発送方法 「エコメール便」とは? (2008/10/07)

