このページの本文へ
ここから本文です

高千穂の夜神楽に象徴される
“継続性”はエコ精神の原点

――今、少し話に出た高千穂は、「神話と伝説のふるさと」「天孫降臨の地」として知られるところですね。特に、毎年11月から翌年2月までの間に行われる夜神楽は有名です。800年以上前の平安時代末期から行われていたとの記録もあり、戦時中の灯火管制下でも、ずっと行われていたと聞きます。先ほどの“継続的に”という点で象徴的に思えるのですが、いかがでしょうか。

東国原:  そういった文化が宮崎県に存在していることに、大きな自信と誇りを感じますね。

夜神楽は単なる観光資源ではなく、地域の文化や風習・歴史を伝承していくという人間の営み、生活の継続性が、象徴的に表れているものだと思います。それが現在でも続いているということは、非常に素晴らしいことですね。

一方で、高千穂が「天孫降臨の地」であることは、よく「有名だ」「有名だ」といわれますが、まだまだ知らない方もたくさんいらっしゃいます。今後は、そういった点にも興味を持って宮崎県を見ていただけるとありがたいですね。


高千穂の伝統工芸品である神楽面を手に取る東国原知事

高千穂の伝統工芸品である神楽面を手に取る東国原知事

――「神話と伝説の地」である高千穂は、最近ではスピリチュアルスポットとしても人気が高まっているようです。知事ご自身、宮崎県知事として出馬されたのは、高千穂で何か天啓のようなものを受けたからだという話も聞いていますが……?

東国原:  私は霊感などは全くないので、空耳だと思うんですけどね(笑)。高千穂に行ったのは、ちょうど国政と宮崎県知事のどちらに出馬するかで迷っていたときです。そこで「宮崎へ帰ってきてください」という声が聞こえた気がしたんです。ただ、半ば知事選に出る決心はついてましたから、自分の心の声のようなものかもしれません。


――いずれにしても、知事にとって思い出の地ということは言えそうですね。そんな高千穂が人々を引き付ける魅力は、どこにあると思われますか?

東国原:  私は、宗教や祭り事というのは、人間の精神世界を支える重要なファクターだと、とらえています。その意味で、『古事記』や『日本書紀』に記されている高千穂の神話と伝説は、人々の夢だったんじゃないかなと思うんですね。日本の原点がここにある、という夢……そこに、生きる糧を見出したんじゃないかなと。

神が降り立った高千穂から、日本が出来上がっていった――科学的に見れば絵空事かもしれませんが、科学では割り切れない人々の思い、暮らし、精神世界というものがあります。そういった人々の思いを充足させてきたのが神話と伝説であり、夜神楽であったと思います。

神楽を舞う場所に飾る彫物(えりも、えりもの)。数種類あり、それぞれ決まった位置・順序に並べる。写真左が甲子(きのえね)、写真右が子授安産豊穣を象徴する湯襷(ゆだすき)

神楽を舞う場所に飾る彫物(えりも、えりもの)。数種類あり、それぞれ決まった位置・順序に並べる。写真左が甲子(きのえね)、写真右が子授安産豊穣を象徴する湯襷(ゆだすき)

夜神楽では一晩中、通して踊るんですが、そこには何か神秘というか、“感ずるもの”がありますね。行われるのは真冬なので本当に冷えるし、酒を飲まなければやっていられないような寒さです。明け方になると、もう、フラフラですよ。

でも、その時に、神を見る気がしますね。まあ、酔った勢いかもしれませんが、八百万の神々もお酒が好きなようですから(笑)。神との対面、神との遭遇、神との出会いをしてみたいなという方がおられましたら、ぜひ高千穂へいらして、一度、ご覧になってみてはいかがでしょうか。

自然というものは日本中、世界中どこにでもありますが、その中でも“スピリチュアル”という付加価値のあるスポットというのは限られています。ですから、自然との触れ合いと、精神的な充足――両方を満たすのに、高千穂というのは持って来いの場所ではないかと思います。


――ありがとうございました。

木目が美しい伝統工芸品の神楽面。左が田力男命(タヂカラオノミコト)、右が天細女命(アメノウズメノミコト)。実際の舞いでは色や表情の違う数種類の神面を使う

木目が美しい伝統工芸品の神楽面。左が田力男命(タヂカラオノミコト)、右が天細女命(アメノウズメノミコト)。実際の舞いでは色や表情の違う数種類の神面を使う

(東国原知事のインタビューを動画でご覧になりたい方はこちら)

東国原 英夫(ひがしこくばる・ひでお)氏

現職:宮崎県知事

最終学歴:早稲田大学 第二文学部卒業(平成16年)

略歴:
1957年(昭和32年)9月16日生まれ。
1976年(昭和51年)4月専修大学 経済学部入学、1980年(昭和55)年3月同大学卒業。
2000年(平成12年)4月早稲田大学 第二文学部入学、2004年(平成16年)3月同大学卒業。
2004年(平成16年)4月早稲田大学 政治経済学部入学、2006年(平成18年)3月同大学退学。
2007年(平成19年)1月23日第52代宮崎県知事就任。

ここから下は、過去記事一覧などです。画面先頭に戻る バックナンバー一覧へ戻る ホームページへ戻る

記事検索 オプション

SPECIAL

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る