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環境を美しくするということは
心も文化もきれいにするということ

──山を守るための施策が、結局下流の都市を守ることにもつながるということですね。

宮林:  森林だけじゃなく、里山は20年周期で切って利用していたのに、エネルギー転換で切らなくなってから60年ぐらい経ってます。人工林がダメになると、その下の里山もダメになる、その下にある畑や田んぼもダメになる。棚田は日本の美しい景観ですが、どんどん破壊されてきています。人工林をきちんと手入れしないと、ここから日本の山はダメになっていきます。


宮林:  結局、「環境資本主義」とは、ライフスタイルを変えることだと私は思います。生産力を高めるために、無駄を切り捨てて効率化を進めるアダム=スミス流の考え方は今の時代にはそぐわない。ではどうなるかはまだ分からないけど、日本にはアグリカルチャーの文化があるから、何かが生まれる可能性があると期待しています。

――新しく生まれるライフスタイルとは、つまりどのようなものなのでしょうか。

宮林:  それはつまり、遊びがあるということ。本当の遊びはプロじゃないとできないんです。農業の世界は、厳しいけれど、遊びの余地があるところ。源流も、川も、それをよく知る人が遊ぶところです。今の子供には遊びを教える大人が居ない、遊べる場所がない。

環境問題というのは、結局、「今の状況の中で子供たちに何を渡すのか?」を問うことであるともいえるでしょう。環境を美しくするということは、心も文化もきれいにするということです。今、何ができるのか、すべての世代の人に関心を持って考えてほしいと思います。

――ありがとうございました。

(前編はこちらから)

宮林 茂幸(みやばやし・しげゆき)氏


東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科教授

1975年東京農業大学農学部林学科卒業、2000年より現職。21世紀の持続型社会を目指し、特に源流域の森林を、上流の農山村と下流の都市をあわせた「流域社会」の共有財産と位置づけ、持続的な森林保全および利用のあり方と、農山村と都市の交流をテーマとし、済学、社会学、教育学、フィールドワークなどさまざまな手法を用いての研究を行う。

その実践の場として、2006年9月、「多摩川源流大学」を設立。山梨県小菅村白沢分校跡を拠点に、地元住民と協力して実践的な教育活動を展開している。

現在、多摩川源流研究所運営委員長を勤める。

主な著書
『森林レクリエーションとむらおこし・やまづくり』 『森林教育のすすめ方-21世紀の森林・林業を目指した人づくり・地域づくり-』(共著)、『社会林の立地配置と維持管理システム化に関する研究 (文部省科学研究費補助金成果報告書)』(共著)『多摩川上流における環境浄化のための水源林管理システムの策定に関する調査研究』など。

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