間伐材を利用することで、CO2が固定される
──源流域の森林を守るということは、環境を守るということにもつながりますよね。
宮林: ご存じの通り、植物は、光合成でCO2(二酸化炭素)を吸収します。日本の森林は、9700万トンのCO2を蓄えているといわれています。つまり、木を育てるということは、CO2を吸収し、固定するということにもつながり、地球温暖化防止に直結します。政府は、京都議定書で定められた温暖化ガス排出量6%削減のうち、3.8%に当たる1300万トンを森林によるCO2吸収で確保する方針を打ち出しています。
光合成は植物の成長の原動力ですから、成長期にある若い木ほどCO2の固定力が高くなります。これが、ある程度のサイクルで木を切って、利用することの重要性につながります。植えるだけじゃだめで、使わないとだめなんですよ。間伐しても使わずに放置しておけば、やがてその木は腐って、固定したCO2を全部排出してしまいます。木材を使うからCO2が固定されるのです。
──なるほど。とはいっても建材や家具だけでは、やはり使える木の量には限界があるような気がします。
宮林: 間伐材の使い道は何も建材や家具だけではないんですね。私の相棒の研究者は、全国のため池を浄化するための研究に取り組んでいるのですが、最近目を付けているのが間伐材を使った「ビオトープ」の構築です。彼いわく、全国には20万のため池があって、その8割の水質が汚染されているのを何とかするのが課題だそうです。
そのために有効なのが、水際に生える水生植物の育成と保護で、そのためのいかだを間伐材で作ろう、というのが彼の発想です。いかだに網を張って、中に炭を入れるとよく育つんです。網はミャンマーから輸入して8万円ほど、残りの材料の木や竹は地元で買えば、1台30万円ぐらいでいかだが出来ます。
市販のプラスチック製のいかだが100万円もするのに比べれば、安いし、自然にやさしいし、地元にお金は落ちるし、いいことづくめです。資金は農林省の水質浄化予算から出るはずですから、心配する必要もありません。

東京農業大学 地域環境科学部 森林総合科学科 宮林茂幸 教授
また、いかだの作成と設置作業には、地域の老人クラブと子供会が一緒にあたることで、老人の知恵が子供に伝わっていく。いかだを浮かべて葦を植えると、小魚がすみ、ワカサギがすみつき、漁業が復活します。
──池がきれいになるだけではなく、地域づくりの原動力にも間伐材が役立つというわけですか。
宮林: そうです。今、諏訪湖の再生にこの手法が使えないかと考えているんです。270億円もの予算が付いていますから、地元の森林の木を利用して、中小企業にもお金が落ちるような仕組みを作れば、地域活性化にもつながるはずです。
大人1人が1年間で排出するCO2の量は年間300kg。これは、スギ・ヒノキに換算すると、23本で固定できる量に匹敵します。国産の木材をこれだけの量使うことで、日本全体として、CO2の収支が均衡するんです。こうした木材の活用にも、外材ではなく、国産の木を活用することで、日本全体のCO2排出量を削減することができます。
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