今の人工林は山を守れない「緑の砂漠」
──緑に見えても病んでいる森が多いというのは、「森に山を守る力がなくなっている」ということですか。
宮林: その通りです。本来、森林は水源涵養機能を持っている、“緑のダム”みたいなものです。なのに今は保水機能のない、緑の砂漠になってしまいました。その原因は木を切らなかったことにあります。「木を使わず、山を荒らす」──これは、人類史上初の由々しき事態ではないかと私は思います。
――何も知らない都市生活者が「自然はいいなぁ」などと言っている間に、現実はそれほど大変な状況になっているんですね……。
宮林: そうです。政府は、今からでも間伐をして50年伐期(50年で全て伐採すること)で計画していた森を80年伐期の森として利用せよというのですが、間伐したところでその材が収益にならないので、農家にとっては全くメリットがないのです。
もっとも、ここ数カ月は、状況が少し変わりつつあります。1つには、輸出国の環境破壊が問題になってきたこと。もう1つは、急速に成長している中国に多くの木材が流れ始め、日本国内では木材が不足しつつあるということです。そこで今度は「間伐材を使え」ということで、急きょ、日本の森林が伐採され始めました。
ところがその結果、切りっ放しで植林されていない山が生まれています。現在、九州に3000ha、東京でも奥多摩に200haほどそういう山が、台風で土を流されて土石流などの自然災害を引き起こし、これがまた新たな問題となっています。
上流で木を切って、下流で利用するというサイクルがきちんと機能していた時には、上流で自然に行われていた山の手入れが、下流の生活を守っていた。結局それが成り立たなくなったのは、政策だけが悪いのではない。経済性を優先して日本の山の木を計画的に使わない、下流にいる企業や、都市生活者である我々も原因の一端です。

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