CO2削減の大いなるヒント
銭湯で学ぶ“正しい水の使い方”
――あと銭湯初体験の人に向けて、銭湯で守るべき最低限のマナーを教えて下さい。
図師: マナーをポスターに書いて貼ってある銭湯も多いですけど、まあそれを予習して行くわけではないですからね。一番いいのは、近くにいる銭湯慣れした人に連れて行ってもらうこと。でもそういう知り合いもいない、あるいは人と行くのが面倒臭いということで1人で行く場合は、まず “謙虚になる”ということが大事だと思います。“お金を払って入るんだから、みんな平等だ”という意見ももちろんなのですが、やはり私も普段行かない銭湯に入る時は、必ず“お邪魔させてもらっている”という意識を持つように心がけていますね。例えば関東の銭湯は一番奥に浴槽があるのですが、浴槽に近い方の洗い場は“上座”で、常連さんの指定席になっている場合が結構多い。だからそこに一見の客がヒョコヒョコ行くと、あからさまに嫌な顔をされる時がありますよ(笑)。でもそれ以外は、「浴槽にタオルを入れない」とか、「身体を洗ってから浴槽に入る」とか、「お湯やお水を人にかけない」とか、非常に基本的なことですよね。どういう風にふるまえば、周りの人が不快にならないかを考えて謙虚に行動すればいいんですよ。
――個人主義で“俺がルールだ”となりがちな現代において、銭湯は集団におけるルールを学ぶ最適の場所かもしれませんね。
図師: そうですね。同様に水の使い方にしても、シャワーの水をジャアジャア出しっ放しにして、そこいらにしぶきを飛び散らかしたりしていると、周囲から嫌な顔をされたり、もっとひどい時は「はねてるよ!」って注意されたりする。でもそうすることで、無駄のない水の使い方を学ぶことができるんですよね。これが家のお風呂で一人でシャワーを浴びているだけでは、いつまでも気付かないことですからね。さらに自分の水の使い方を正せるだけではなく、周囲の人がどういう使い方をしているかも知ることもできる。そうやって相互に影響し合って、知らず知らずのうちに水の使い方を勉強できて、それを家庭でも生かすことができる。また銭湯って、子供もたくさん来ますよね。それで子供の世代に水の使い方を教えてやることで、水、ひいては資源の大切さを伝えていき、それはCO2の排出削減ということにも繋がってきますよね。こんなことも、銭湯ならではの魅力だと思いますね。
――どうもありがとうございました。
(前編はこちらから)

銭湯研究家・図師 真吾氏
図師 真吾(ずし・しんご)氏
銭湯研究家。
1963年東京都生まれ。一般のビジネスパーソンとして会社勤めをするかたわら、全国の銭湯を渡り歩いて建築様式、調度品をはじめとする銭湯の研究を続けている。これまでに入った銭湯は1300軒を超える。著書に「シアワセの銭湯旅」(けやき出版)「極楽の風呂めぐり 多摩の湯170」(けやき出版)がある。また東京都浴場組合の広報誌『1010』で、都内各所の銭湯にまつわる連載コラム「ちょいとひとっ風呂」の執筆者の一人として活躍中。
取材協力: 玉の湯
住所: 東京都杉並区西荻北3-32-3
電話: 03-3399-2966
営業時間: 15:30~24:30
定休日: 木
最寄り駅: JR西荻窪
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