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果たして銭湯はエコなのか!?
キーワードは「水と燃料」

――さて、そんな銭湯が今、環境の面から見直されていると聞いています。ズバリ、銭湯はエコに貢献しているのでしょうか?

図師:  まず、私は銭湯研究家と名乗ってはいるものの、科学者ではありません。ですので、これから申し上げることについて、細かい数字のデータは詳しくないので、感覚的な意見も含んでいるということだけは御了承下さい。さて、銭湯がエコに貢献しているかどうかというのは、水と燃料という2つの面で考えられるんですね。そして結論から言うと、銭湯はエコであり、地球温暖化防止のためになっていると思います。

まず水の面でいうと、1人あたりのお客さんが銭湯の入浴1回で使う水の量は、家庭風呂での入浴の約半分というデータを見たことがあります。もっとも、これはお客さんの数にもよりますけどね。また、お湯は消毒して循環しますから、家庭風呂のように1度で流してしまうことはないんです。まあ、豊富に湧き出てくる天然温泉でもない限り、かけ流しって銭湯には負担が大きすぎて無理なんですよ。でもそれが結果的に、“限られた資源を有効に使う”という点で、環境面での利点に繋がっているんですね。あと、水道水でなく、井戸水を使っている銭湯がまだ結構残っています。地下水をくみ上げること自体には議論がありますけど、少なくともわざわざ水道水を大量に使用するよりはいいと思います。もちろんお湯の循環にしても、井戸水の利用にしても、必要上の消毒はきちんと各銭湯で行って、厳しい基準をクリアしているので安心ですよ。


――もうひとつの“燃料”という面については?

図師:  かつて銭湯は家の解体現場などから出た廃材が主力でした。まあこれも大気汚染という点での問題がありますが、ごみを減らすという点では有効でした。ただ近年はガス焚きや重油焚きの銭湯が増えて、廃材利用の銭湯は少なくなってしまいました。


――ちなみに使う燃料でお湯に影響はあるのですか?

図師:  これは実際に感じますね。何を燃料に使っているのか聞いてなくても、「ここは重油焚だ」とか「ここは薪だ」とかお湯の肌触りなどで分かるんですよ。重油焚きだと、ちょっとピリピリっとした刺激がある場合が多い。これは一気に水が温められて、水蒸気が溶け込み過ぎてしまうことが原因とも言われています。その点、薪やおがくずで焚いたお湯は、そういう状態が緩和されるのか、とても柔らかい感触なんです。特におがくずはとても気持ち良いですね。


――お湯の質が良くなるのなら、「うちはおがくずで焚いてます!」など、もっとアピールすればいいのに。お客が増えて、他店も真似しだすかもしれませんよね。

図師:  確かにそういうことを打ち出している銭湯もありますけどね。でもやはり経営者の高齢化などで、釜の管理が大変であることも事実です。だから残念ながら、廃材利用の銭湯は減っていくと思いますね。ただ水についてと同様に、やはり大勢の人間が一緒に入るということで、各家庭でお湯を沸かすことを考えれば、銭湯の利用によりエネルギーの削減につながるのではないのでしょうか。あと、水の有効利用、という面はこれからも続いていくと思うので、こういう利点をもっと打ち出せばいいと思いますね。


銭湯研究家・図師 真吾氏

銭湯研究家・図師 真吾氏

後編に続く

図師 真吾(ずし・しんご)氏

銭湯研究家。
1963年東京都生まれ。一般のビジネスパーソンとして会社勤めをするかたわら、全国の銭湯を渡り歩いて建築様式、調度品をはじめとする銭湯の研究を続けている。これまでに入った銭湯は1300軒を超える。著書に「シアワセの銭湯旅」(けやき出版)「極楽の風呂めぐり 多摩の湯170」(けやき出版)がある。また東京都浴場組合の広報誌『1010』で、都内各所の銭湯にまつわる連載コラム「ちょいとひとっ風呂」の執筆者の一人として活躍中。

玉の湯 取材協力: 玉の湯
住所: 東京都杉並区西荻北3-32-3
電話: 03-3399-2966
営業時間: 15:30~24:30
定休日: 木
最寄り駅: JR西荻窪

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