評価の仕組みがあれば
日々の生活が変わる!
――今は多種多様な環境対策商品やサービスが出回っていますが、具体的にどう取り入れていけばいいのか、わかりにくいのが現状です。異質の技術を定量的に評価、比較できるようになれば、その点も解決できそうですね。
水野: 地球温暖化対策では、個人がエネルギーベースで二酸化炭素の排出量を計算できる仕組みがあります。平均値と比べて自分がどのくらい頑張っているのか、あるいは頑張りが足りないかを知ることができれば、暮らし方が変わりますよね。これは大切なことです。
ヒートアイランドには評価基準がありませんから、ぜひとも環境家計簿にヒートアイランド項目を載せたいと考えています。どこまで評価の精度を高められるかは未知数ですが、環境家計簿にヒートアイランド項目が加われば「自分の家は駐車場をアスファルトにしたから、平均値より悪いが、その代わりに打ち水をしよう」といった行動につながるはずです。
――明確な指標が打ち出されることは、デマンドサイドがエネルギーの使い方を考える上でも、大きな意味を持つと思います。

大阪大学 名誉教授 工学博士
水野 稔 氏
水野: これからはデマンドサイドが主役の時代です。我々は主体的に「上手に暮らすためのインフラとは何か」を考えていかなければなりません。既存のシステムを変えていくことで多少の出費を伴ったとしても、必ず後世のためになります。
環境対策の財源として炭素税や環境税という案が出ていますが、やはりデマンドサイドに向けた情報が不足しています。炭素税として炭素1tあたり3000円と聞くと、大層な金額に思えますが、ガソリンに換算すると1ℓあたり2円程度です。ガソリン税は1ℓあたり53.8円ですから、比較して考えれば、決して高額だとはいえないのではないでしょうか。
炭素税導入の是非はともかくとして、議論をするために必要な情報はきちんと周知すべきです。実質的な負担額についてだけでなく、3000円で何が出来るかも明確に説明する必要もあります。
地球温暖化やヒートアイランドの問題を解決するには、エネルギー代謝系をデマンドサイド主導で構築するというパラダイムシフトを起こさなければなりません。みんなが「誰かがやってくれるだろう」と思っているうちは解決しないのです。重要なのは何をおいても情報です。一人ひとりが自分の置かれた状況を理解することが行動の出発点になるのではないでしょうか。
――ありがとうございました。

エネルギー代謝系の概念図
(前編はこちらからどうぞ)
水野 稔(みずの・みのる)氏
大阪大学名誉教授。工学博士。
1943年生まれ。大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程修了、同博士課程単位修得退学。1971年、大阪大学工学部助手に就任。その後、講師、助教授を経て、1989年に大阪大学工学部環境工学科教授に就任する。2007年定年退職とともに名誉教授の称号を授与される。
環境共生省エネルギー都市、エネルギー環境情報システム、未利用エネルギー活用システムなどをテーマに、都市のエネルギーシステムに関する研究、都市熱環境の保全に関する研究(ヒートアイランド、都市、廃熱)、空調システムの省エネルギー化に関する研究などを行う。
主な著書に『環境保全』、『都市と環境』、『コージェネレーションシステム計画・設計と評価』(分担執筆)など。空気調和・衛生工学会会長をはじめ各種学協会の理事・評議員、大阪府環境審議会委員などを歴任。現在、大阪ヒートアイランド対策技術コンソーシアム理事長。
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