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“水素細菌”により生ゴミから
クリーンなエネルギーを抽出

――最後に「FT革命」で生み出せる「環境にやさしいエネルギー」について。今日、CO2の排出および環境負荷の少ないクリーンなエネルギーが求められています。果たしてそのようなものは可能なのでしょうか?

小泉:実は、微生物の力で、そんな夢のようなエネルギーが得られるようにする研究が行われています。それは何かというと「水素細菌」の存在です。水素はご存知のとおり、燃焼する時には今日の自然界の中でももっとも高いエネルギーを発生しますよね。FT革命では、その水素エネルギーを発酵の力で得られないか、という研究が進められているのです。

「水素細菌」に話を戻しますと、水素エネルギーを取り出す可能性を秘めた微生物の働きというのは、水(H2O)が存在すると、それを水素(2H)と酸素(O)に分解するというものです。こうして取り出した水素に火(酸素、O)をつけると、巨大なエネルギーが発生しますが、その副産物は水(H2O)だけなんですね。エネルギーの原料は水、そしてその副産物も水という、まさに夢のようなエネルギーです。

別な種類の「水素細菌」には、有機物を分解して水素を発生させる微生物というのも存在します。

また生ゴミの話に戻りますが、もし、生ゴミを水素細菌に分解させる研究が実用化されれば、ゴミ問題とエネルギー問題、この2つを解決できるのではないかと考えているんです。まだ実現するには時間がかかると思われますが、「FT革命」の力で生ゴミから新しいクリーンエネルギーを創造できるという日も夢ではないのです。


――まさに“発酵が人類を救う”と言っても過言ではないですね。

小泉:私の恩師の言葉に「人類、壁に突き当たって困ったら、微生物が解決してくれる」というのがありますが、目にも見えない微生物にどうしてこんなにすごいパワーがあるのかと感じます。まるで「小さな巨人」ですよね。自分は学生の頃から発酵学を研究して、微生物に秘められた力に魅力を感じてきました。そしてその微生物の力――発酵を使ってどのように社会のために貢献できるのかを考えてきたんですね。そしてこの4つの問題に当たったわけです。

先に述べたように、この4つは21世紀を生きる人類に与えられた大きな課題だと考えています。それを「FT」の力を使って、早急に解決していきたいと思いますね。


農学博士・小泉 武夫氏

農学博士・小泉 武夫氏

前編はこちらから

小泉 武夫(こいずみ・たけお)氏

 農学博士。
 発酵学、醸造学を専攻。
 1943年、福島県の酒造家に生まれる。
 現在、東京農業大学応用生物科学部教授、鹿児島大学客員教授、別府大学客員教授、広島大学医学部大学院非常勤講師のほか、農林水産政策研究所客員研究員(農水省)、全国地産地消推進協議会会長(農水省)、食糧自給率向上協議会会長(内閣官房長)、たて国立民族博物館共同研究員、福島県しゃくなげ大使や東都大学野球連盟理事を務めるなど、その活動は多岐にわたる。
 主な受賞歴に「日本醸造協会伊藤保平賞」、「読売新聞社オピニオン賞」、「日本発明協会白井賞」、「三島海雲学術奨励賞」などがある。
 また、作家、エッセイスト、冒険家、発明家の顔を持ち、著書は単著で95冊、共著で22冊に及ぶ。
 作家としてのペンネームに諸白醸児があり、また「味覚人飛行物体」を自称する。

主な著書
『FT革命』(東洋経済新報社)
『発酵は錬金術である』 (新潮選書)
『食に知恵あり』『中国怪食紀行』『食あれば楽あり』(日本経済新聞社)
『発酵食品礼賛』(文芸春秋)
などがある。

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