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「発酵」の力で
地球温暖化を抑制するには

――「発酵」というと、真っ先に思い浮かぶのが食料品などですが、実は発酵には、人類や環境に大いに役立つ、偉大なパワーが秘められているというのは本当ですか?

小泉 武夫教授(以下、敬称略):  そうですね。実際、これまでの人類の歴史で、発酵の力は色々な形で人類に貢献してきました。例えば医療分野でいえば、青カビからつくられるペニシリンなどの抗生物質。これも微生物の発酵の力を利用したものです。もし抗生物質がなければ、今の人類の平均寿命は大きく変わっていたかもしれません。このように、微生物の働きは人類全体にとってとても大きな力を持つものなんですね。

私は今、21世紀の人類にとって避けては通れない、しかも早急に解決しなければならない大きな問題が4つあると考えています。

1つは「環境問題」、2つめが「健康問題」、3つめは「食糧問題」、そして4つめが「環境に優しい新エネルギー問題」です。私はこれら4つの問題も、微生物による“発酵の力”で解決できる、と考えているのです。しかも、元々自然界に存在する微生物を使った技術なので、人類にも、環境にも優しい。こうした夢のような技術こそ、21世紀にふさわしいものだと考えて、私は数年前から「FT革命」を提唱し始めました。「F」は発酵を意味するFermentation、「T」は技術のTechnologyの略です。

――ではまず環境問題について、「FT革命」ではどのように取り組むのでしょうか。

農学博士・小泉 武夫氏

農学博士・小泉 武夫氏

小泉:  「FT革命」として取り組まなければならない大きな環境問題に、生ゴミの問題があります。これも発酵の力で改善する糸口は見え始め、実践に移されつつあります。現在、生ゴミは焼却処理をしていますが、実はこれは非常に大きな問題をたくさん抱えているのです。

まず、生ゴミというのは水分を含んでいるでしょう? そのため、なかなか完全燃焼できない。ですから、燃やすためには大量のエネルギー、つまり石油を大量に使います。これは資源を使うばかりではなく、CO2も大量に発生する結果となりますよね。これでは、地球温暖化に拍車をかけるばかりです。

さらにゴミを燃やした後はどうなるかというと、焼却灰は最終的に埋め立てられます。環境ホルモンのように、土壌汚染の可能性も高い危険な物質が入っていないとも限らないのに、です。特に生ゴミは、不完全燃焼だとダイオキシンなどの有害物質が発生するおそれもあります。こうしたことを考えると、埋め立てるだけ埋め立てて後は後世に「お前らなんとかしろ!」とまかせる……これはまるで犯罪行為のようなものだと思っています。加えて、ゴミ焼却には、処理施設の建設費用、その運用費、つまり回収から最終処理に至るまで、莫大な金額がかかるという側面もあります。

そこで私は、「いつまでもこのようなことをしていてはいけない。生ゴミを発酵の力で土に戻そう」と訴えているわけです。これはつまり、地球温暖化と土壌汚染、2つの問題に取り組んでいることになるのです

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