メルセデス・ベンツの
エコドライブ講習会リポート
――ところで清水さんは最近ドイツのメルセデス・ベンツ本社で“ベンツ流エコドライブ”の講習を受けたと聞いておりますが?
清水: はい、メルセデスの次世代パワープラントの技術プレゼンテーションに出席したときのことです。
メルセデスでは、ドイツで一般ドライバーやトラックなどのプロドライバーを対象とした「安全運転とエコドライブ講習会」を実施しています。今回はいい機会なので、メルセデスがどんなエコドライブを教えているのか、実際に参加してみました。

清水氏が参加したメルセデス・ベンツのエコドライブ講習会風景
――日本のエコドライブと比べて、どのような違いがあるのか、興味が沸きますね。
清水: 基本的には私が推奨するエコドライブと同じで、クルマのスピードを極端に下げることは薦めてはいませんでした。スピードは目的地までの移動時間に関係しますから、メルセデスではそれもクルマの重要な価値であると考えているのです。
クルマがこれまで歩んできた歴史を考えれば、この話はむしろ当然のことなんですがね。

メルセデス主催の講習会では公道を走行しながら、実践的にエコドライブを学ぶ
メルセデスのエコドライブ講習は、約55kmのコースを使って行われます。これはドイツでクルマを使うユーザーの代表的な距離だそうで、講習用コースのうちの約30%がアウトバーン(高速道路)、同じく30%が市街地、残りがカントリー道路でした。
評価方法は、分かりやすくいうと「平均速度」と「1リッター当たりの走行距離」を足した値で競います。デイタイムではだいたい50分から60分の所要時間となりますが、私の結果は新型Cクラスの2.2リッターディーゼル車で平均速度が時速56km、1リッター当たりの走行距離が17kmでした。
テストしたクルマはオートマチック車(AT車)だったので、ギアの選択はコンピュータ任せでしたが、ステアリングにつけられたパドルシフトを駆使して、なるべくエンジンの回転を上げないように走りました。
しかし、後続車の邪魔になるほどスピードを落としたわけではありません。多くの参加者の平均速度は53km/hくらいだったので、スムーズに走ったことで時間を短縮しています。AT車だけに交差点でエンジンを切ることは控えようと思いましたが、優勝者には素敵な賞品が用意されていたので、エンジンは止めました。
――クルマとしてのスピードという価値を維持しながら、エコドライブを実践しようという発想が、さすがドイツという気がします。
清水: メルセデスは近いうちにAT車のアイドルストップが可能な「ISG(Inteligent startet generator)機構を持ったマイルドハイブリッドを実用化する」と、この席で発表しています。
アイドルストップは、これからのトレンドになりそうですね。
――どうもありがとうございました。
(前編はこちらから)
清水 和夫(しみず・かずお)氏
プロフェッショナルなレースドライバーとして国内外の耐久レースで活躍する一方、自動車ジャーナリストとして活動を行っている。ドライビングを科学的に分析する能力はクルマの正確な評価にも生かされ、シャープな論評は支持者が多い。
ジャーナリストとしては国内だけでなく、海外にも活動を広げ、自動車の運動理論、安全、環境、ITSのみならず、自動車国際産業論にも精通し、多方面のメディアで執筆活動を行っている。本年10月には、日本放送出版協会より「ITS」を出版。
ボランティア活動としては、CRS普及活動を行っている「子供の安全ネットワーク・ジャパン」、「妊婦のシートベルト着用を推進する会」などの会をサポートしている。近年は、救急法(ファーストエイド)・AED(除細動器)の普及活動も行っている。
主な連載誌
『NAVI』、『ENGINE』
主な著書
「ITSの思想」(日本放送出版協会)、「ディーゼルこそが、地球を救う-なぜ、環境先進国はディーゼルを選択するのか?」(ダイヤモンド社)、「クルマ安全学のすすめ」(日本放送出版協会)、「燃料電池とは何か-水素エネルギーが拓く新世紀」(日本放送出版協会)などがある。
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