安全運転も間接的には
エコドライブにつながる
――クルマの場合はちょっとした故障でもドライバーだけでなく、歩行者などの人命を脅かしかねません。新技術の導入までに時間がかかるのは仕方のないことですね。
清水: クルマにとって安全性の大切さはいうまでもありませんが、実は今回のテーマであるエコドライブも安全と関係が深いのです。ひとたび事故が起きれば、大渋滞が発生しますよね。さらに、救急車や消防車などが出動すれば、そこでも余計にCO2が排出されます。
だから、安全運転は間接的にエコなんです。これをぜひ忘れないでいただきたいですね。
例えば、長い下り坂でエンジンブレーキを使って安全性を担保することも、エコドライブといっていい。燃費だけをみれば、Dレンジでエンジンを2000回転くらいにしてフットブレーキで減速するのも、ギアを下げて(1速、あるいは2速で)4000回転くらいでエンジンブレーキを使うのも、大きな差はありません。ポイントはどちらがより安全か、という話なんです。
特に夏場はブレーキパッドの温度が500度から600度に達します。この状態がずっと続くと、最悪の場合、皆さんもご存じのように「ベーパーロック現象」が生じる可能性があります。こうなると、急激にブレーキペダルの踏み応えが弱くなり、いくら踏んでもブレーキが効かなくなってしまいます。これではどうしようもありません。
荷物をたくさん積んだミニバンで、下りの長い道のりを走行する場合には、必ず意識してエンジンブレーキを使うようにしてください。それが安全運転につながるコツです。

モータージャーナリスト 清水 和夫氏
――その他にも清水さんから見て、安全運転をするためにドライバーに心がけて欲しいことはありますか?
清水: もっとヘッドライトを使ってほしいと日々感じています。
誤解しないでいただきたいのは、夜間のヘッドライト点灯のことをいっているのではないということです。夕暮れ時にはスモールランプ(ポジションランプ)だけを点けたクルマを多く見かけますが、スモールランプは道路交通法上、停止中の補助ライトという位置づけですから、それだけを点けて走るのは間違いです。
米国やカナダでは「デイライト」といって、エンジンをかけると初期設定でヘッドライトが点く仕組みが法規で定められていて、消したい人はマニュアルで操作することになっています。スウェーデンも基本的にライトはオンですし、欧州の他地域では法規になくても、ライトをとにかく早めに点ける傾向があります。
日本でも昔は周囲が暗くなると、メーター類が見えなくなるので、ヘッドライトを点けていました。しかし、最近の高級車はインパネにLEDが採用されていて、自分のクルマの周囲が暗い方がメーターを読みやすいので、無灯火で走行するケースが増えているのかもしれません。
もちろん、太陽がさんさんと降り注ぐ日中にヘッドライトを点ける必要はありませんが、朝夕、雨天、高速道路では意識的にヘッドライトを点けるようにしましょう。それが安全運転につながり、結果的にエコにもつながっていくと思います。
私の動画ブログでは、最新のクルマの燃費テストの様子を動画で見ることができますので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
(後編に続く)
清水 和夫(しみず・かずお)氏
プロフェッショナルなレースドライバーとして国内外の耐久レースで活躍する一方、自動車ジャーナリストとして活動を行っている。ドライビングを科学的に分析する能力はクルマの正確な評価にも生かされ、シャープな論評は支持者が多い。
ジャーナリストとしては国内だけでなく、海外にも活動を広げ、自動車の運動理論、安全、環境、ITSのみならず、自動車国際産業論にも精通し、多方面のメディアで執筆活動を行っている。本年10月には、日本放送出版協会より「ITS」を出版。
ボランティア活動としては、CRS普及活動を行っている「子供の安全ネットワーク・ジャパン」、「妊婦のシートベルト着用を推進する会」などの会をサポートしている。近年は、救急法(ファーストエイド)・AED(除細動器)の普及活動も行っている。
主な連載誌
『NAVI』、『ENGINE』
主な著書
「ITSの思想」(日本放送出版協会)、「ディーゼルこそが、地球を救う—なぜ、環境先進国はディーゼルを選択するのか?」(ダイヤモンド社)、「クルマ安全学のすすめ」(日本放送出版協会)、「燃料電池とは何か—水素エネルギーが拓く新世紀」(日本放送出版協会)などがある。
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