アイドリングストップは
エコドライブじゃない?!
──日本で排出されている二酸化炭素(CO2)のうち、約1割が自家用自動車によるものだとされ、エコドライブ普及連絡会(※)を始め、日本自動車連盟(JAF)や日本自動車工業会(JAMA)といったクルマ関連の各種団体では、環境に優しい「エコドライブ」を推奨しています。これからクルマに乗る機会が増える季節ですし、ガソリン価格も高値で推移していますので、環境にもお財布にも優しいエコドライブを実践しようと考えるドライバーは多いでしょう。 しかし清水さんは、一般にいわれているエコドライブのなかには、間違ったものもあると指摘されています。それはなぜでしょうか。
清水和夫氏(以下、敬称略): まずは具体的な事例をいくつかお話しましょう。
例えば、エコドライブの一つの取り組みとして、アイドリングストップが推奨されています。待ち時間の長い交差点や渋滞のときにもエンジンを切った方が良いという話を聞いたりしますが、これは私にいわせると正しくありません。
クルマには「オルタネーター」と呼ばれる発電機と、「スターターバッテリー」が搭載されていて、いつでもエンジンを再起動できるように、走行中は常に発電して、バッテリーをフル充電する仕組みになっています。
したがって、小まめにアイドリングストップを行うと、エンジンをかけるたびにバッテリーが消費され、走行時にはオルタネーターがフル稼働してガンガン発電が行われることになりますから、燃費には必ずしも良いことではありません。
しかも、夏場はエアコンを使用して、ただでさえ電気の使用量が多いのに、渋滞などでクルマが止まっているときは発電されませんから、バッテリーはもうヘトヘトの状態なんですね。
クルマは元々アイドリングでエンジンを止めるように設計されていません。ですから、必要以上の負荷がかかればバッテリーの寿命は短くなるし、バッテリー上がりの危険性も高まります。ただし、最近は自動的にアイドリングを停止する機構を持ったクルマも実用化されるようになりました。こうした技術が普及することも、環境対策には必要なことでしょう。
――アイドリング時間を少しでも短くする方が燃費にとっても良く、ひいては環境にも配慮しているものだと思っていました。でも、必要以上にエンジンを切ると、むしろ悪いわけですね。

モータージャーナリスト 清水 和夫氏
清水: 道路上では、緊急時の駐停車以外はアイドリングをストップしない方が良い、というのが私の持論なのです。もちろん、コンビニエンスストアで買い物をするときや、駅で人を待つときなどは、すぐにエンジンを切ってください。
駐車しているときにエンジンをかけたままにしているのは、意外に観光バスや運転手付きの社用車に多いんです。車内の環境を快適に保つためにエンジンをかけたままにしているのでしょうが、通常の小型車でも10分間のアイドリングで約130ccの燃料が消費されますから、やはりここは見直すべきでしょう。
もう一つの問題は、先ほど触れたバッテリーについてです。冬場、特に厳冬期のバッテリー上がりは皆さん、結構気にされますが、夏場はあまり気にしないことが多いようです。しかし、夏場はエアコンによってかなり電気を使用します。もしもバッテリーがダメになると、当然のことながらクルマは動かなくなります。
特にオートマチック車(AT車)は人による“押しがけ”ができないので、JAFなどのロードサービスの助けが来るまで、そのままの状態で待つしかありません。一車線の道路でクルマが止まってしまったら、後続のクルマは対向車線に出て抜かしていかなければなりません。あるいは二車線の道路だと、片方のレーンが使えない状態がそこで起きるわけです。
そうなればクルマの流れが滞って渋滞になりますから、他のクルマが排出するCO2の量がどんどん増えます。また、バッテリーのライフサイクルとして見ても、もったいない話ですよね。
※エコドライブ普及連絡会とは
環境負荷の軽減に配慮した自動車の使用促進を目的とした、環境省、経済産業省、国土交通省、警察庁からなる組織。
▼関連サイト
エコドライブ普及連絡会が推奨する
「エコドライブ10のすすめ」PDF版
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