東京大学名誉教授 宇沢弘文氏 高い志で危機を乗り越えてほしい
聞き手/神保重紀、写真/尾関裕士(日経エコロジー)
――地球温暖化問題について、企業や企業人としての役割をどう考えているか。

東京大学名誉教授 宇沢弘文 氏
宇沢氏(以下、敬称略): 地球温暖化問題について、日本の企業の指導者に特に注文をつけることはない。ただし、経営者というのは個人ではなく、非常に公的な立場だ。企業はすべて社会的共通資本で、そうした大事なものをあずかっているのだから。単なる儲けだけではなく、より大きな長い目で見て、みんなが安心して生活できるような場をつくるといった高い志で、日本の経済や社会の危機を乗り越えてほしいと期待したい。温暖化対策は、日本にとっても一番大切な問題だと思う。
温暖化問題を解決するのは、個人のライフスタイルのあり方ではなく、やはり政府の政策にかかっている。特に日本の経済は自動車に完全に依存している。そこをどう変えていくかが重要だろう。
例えば欧州ではEU(欧州連合)が中心になって、都市のルネサンスを始めている。もっと伝統的なヨーロッパの生活や文化に変えていこうという大きな運動で、環境面の問題は戦後のアメリカ的な都市開発が一番大きな原因だという認識に立っている。そこで町の中心には自動車を入れず、主な都市では鉄道と路面電車を利用している。
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