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保全活動で企業価値を高める

――リコーは、率先して環境経営を進めてきた。

桜井:  リコーは古くから環境保全に取り組んできたが、本当に我々の社会活動や経済活動が原因で地球環境が痛んできたのか、環境保全への取組みは経費や投資の持ち出しだけになりはしないかなど、今ひとつ積極的な活動にならなかった。

 そんなとき、今から10年ほど前、東京大学の先生から、「リグレットポリシー」(真実がわかったとき、今までの活動が無駄だったと後悔する)と「ノンリグレットポリシー」(後悔しない)という話を聞いて、はっとした。仮に、20年後に地球温暖化が人間の経済活動や社会活動に起因していない、地球環境の変化は他の原因によるとわかったとしても、取り組んだそれまでの地球環境保全活動が新たな企業価値の創造になっていれば決して後悔することはない。

 ノンリグレットポリシーで環境保全活動に取り組む、これが、リコーの取り組んだ「環境経営」のスタートだった。

 すなわち、環境保全活動が生産性の向上やコストダウン、新たなものを社会に生み出す創造的な活動につなげていけばいい。みんなは、そんなことができるのかと疑うけれども、使う資源を少なくし、エネルギーの消費を減らし、廃棄物を少なくすれば必然的に経営効率や生産効率の向上につながる。これを信じて、ここまでやってきた。

――最近、地球温暖化問題に危機感を持ち、行動し始めようという企業人へのアドバイスを。

桜井:  地球環境保全における取り組みは、長期的に継続してやらなければならない。そのためには、企業がその行動を通して経済的な価値などを高められない限り、継続的な活動にはならない。だから、地球環境の保全活動と経済的価値の向上の両方をきちんと実現していくことが重要になる。

 そして、「地球温暖化の防止は可能なことなので、自信や信念を持ってやっていただきたい」と言いたい。中途半端でなく思い切って取り組めば必ず、競争力の向上につながり、企業価値の向上をもたらす。

 ただ、経営者としてこう言うと、「企業競争力や利益のために地球環境保全をやる」と受け取られてしまうと、大変に迷惑だが(笑)。

桜井 正光(さくらい・まさみつ)氏

 1942年東京都生まれの65歳。
 66年に早稲田大学第一理工学部を卒業し、リコーに入社。
 92年取締役、94年常務を経て、96年から11年にわたって社長を務める。
 2007年4月から現職。経済同友会の代表幹事も務める

日経エコロジー(2007年7月号)
日経エコロジー(2007年7月号)より

 上記の記事「インタビュー 温暖化に立ち向かう:温暖化食い止めるラストチャンスだ 桜井正光 リコー会長執行役員」は、『日経エコロジー』2007年7月号に掲載された特集です。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2007年7月号掲載時の内容となっております。
 『日経エコロジー』は環境経営やCSR(企業の社会的責任)推進体制の構築、ISO14000の導入・運用を担当される方々に向けた、月刊ビジネス誌です。
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