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実際に発電が行われている現場へ足を運ぶ意味

――かつて水力は発電の主役でした。火力や原子力に押され、風力や太陽熱といった新エネルギーも徐々に台頭し、水力発電の将来性は見込めないのではと思っていました。しかし、こうしてお話を伺うと、マイクロ水力発電によって水力発電が新たな局面を迎えつつあるのではないかといえそうです。

松本: 実は先日、マイクロ水力発電を使った千葉県水道局との共同事業が、環境省の補助金を受けられることに決定しました。正式には地球温暖化対策ビジネスモデルインキュベーター(企業支援)事業の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の、交付第1号です。これが“追い風”となって、マイクロ水力発電事業がより一層拡大していくことに期待しています。

東京発電株式会社 取締役社長 松本 一紀氏

東京発電株式会社 取締役社長
松本 一紀氏

昨今、温室効果ガスを排出しない自然エネルギーの利活用に注目が集まっています。そのなかでも水は純国産のエネルギー資源であり、再利用も可能ですから、活用性は高い。特にマイクロ水力発電は、エネルギーとして使われていなかった上下水道などの水の流れを利用するものですから、そこに挑戦する意義は大きいと思いますね。

経済産業省の調査によれば、国内で大規模な水力発電所を開発できる地点はまだ残されていて、既存施設以上のポテンシャルがあるようですが、現実には新規開発自体が難しくなっていると言わざるを得ません。だとすれば、個々の規模が小さくても、マイクロ水力発電所の開発や中小水力発電所の再生を一つひとつ積み重ねていくことが重要なのではないでしょうか。

できれば、皆様にも発電所を実際に見学していただきたいと思っています。二酸化炭素は目に見えませんから、なかなか日常生活でその存在を意識するのは難しいでしょう。

しかし、落合楼発電所のような小規模な発電所でも、一般家庭200軒分もの電力をまかなえて、年間およそ280tの二酸化炭素を削減できているのです。これは東京ドーム約47個分の森林の吸収量に相当します。実際の発電所を見ていただくことで、水にどれだけのエネルギーが秘められているのか、それが環境とどうかかわっているのかを実感できるのではないでしょうか。

私どもが取り組んでいる風力発電にしても、太陽熱などの新エネルギーによる発電にしても同じで、やはり現場を見ていただくのが一番だと思います。環境問題についてただ頭で考えるだけではなく、現場を足がかりにして一歩踏み出していただけたら、きっと身近に感じることができると思います。

――どうもありがとうございました。

前編はこちらからどうぞ)

松本 一紀(まつもと・かずのり)氏

1940年、長野県生まれ。64年、東京電力入社後に経理畑を歩む。93年、豊島支社長、2000年理事東京南支店長、2001年東新ビルディング㈱専務取締役を経て 2003年6月、東京発電取締役社長に就任。
多趣味で俳句と尺八、ゴルフ。更にスキューバーダイビングの免許を取得し、各地の海でダイビングを楽しんでいる。

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