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社員一丸となって荒れ果てた発電所の再生に尽力

――かつての写真を見ると、発電所の入口である取水口周辺がこれだけ荒れ果てていたということは、発電所も状態がひどかったのではないでしょうか。

松本: 例えば、取水口から発電所に至るまでの導水路はすべて土砂で埋まった状態でした。発電所の手前には、川の水に含まれる砂を沈めて水車に取り込む水をきれいにするための「沈砂池(ちんさち)」という設備があるのですが、そこも砂で埋まり、雑草まで生えていました。

発電所として再生させるには、まずこうした堆積物をすべて取り除かなければなりませんでした。しかし、落合楼発電所は狩野川の川岸の、人が歩くことしかできないような狭い場所にあります。つまりショベルカーや重機の類が入り込めない状況で、再生にかかわる一切の作業は人力に頼るほかなかったのです。

こうした作業は、もちろん専門業者に委託することもできます。しかし、事業の採算性を考えると予算には限界がありまして、結局大半の作業を当社三島事業所の社員が行うことにしました。人件費で換算すれば相当の額ですが、それは発電所再生の投資額には含まれませんから、事業としてのコストは抑制できます。その意味で、落合楼発電所は本当に「手作りの発電所」なんです。だから、社員全員が愛着を持てるんです。

取水口から発電所までつづく導水路。

取水口から発電所までつづく導水路。本来であればここには水しかないはずだが、発電所が停止してからは機能しておらず、天井付近まで土砂が堆積していた。これだけの土砂をすべて東京発電の社員が手作業で掻き出し、駐車場のある地点まで人力で運んだという。(写真提供:東京発電)

当初は落合楼発電所で元々使われていた発電設備も再利用するつもりでした。しかし、オイルが川に垂れ流しになる構造で、改良は不可能だったんです。

そこで古い発電設備を撤去し、新しいマイクロ水力発電設備を設置することにしました。撤去作業にもやはり事業所の社員が一丸となって頑張ってくれました。

(写真提供:東京発電)

発電所内に設置されていた旧型の発電機と水車。

発電所内に設置されていた旧型の発電機と水車。マイクロ水力発電機に置き換えられる規模とはいえ、大きさは相当なもの。実際の撤去に当たっては、人力で運べる大きさに細かく切断し、社員一人ひとりが両手で抱き抱えて、足場の悪い川岸を駐車場のある場所まで運んでいったという。(写真提供:東京発電)

後編はこちらからどうぞ)

松本 一紀(まつもと・かずのり)氏

1940年、長野県生まれ。64年、東京電力入社後に経理畑を歩む。93年、豊島支社長、2000年理事東京南支店長、2001年東新ビルディング㈱専務取締役を経て 2003年6月、東京発電取締役社長に就任。
多趣味で俳句と尺八、ゴルフ。更にスキューバーダイビングの免許を取得し、各地の海でダイビングを楽しんでいる。

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