現場の努力の積み重ねなくして、
会社は成り立たない
――御社のコアコンピタンス(強み)を生かせる事業であると同時に、事業としても成立するということですね。それでも従来にない新規事業に取り組むのはリスクが伴います。そういったことを考えると、日本自然エネルギーからマイクロ水力発電の営業権譲渡を受けた背景には別の理由もあったのではないかと思うのですが……。

東京発電株式会社 取締役社長
松本 一紀氏
松本: 譲渡の話を検討するきっかけは、実は「自分たちの現場を活性化したい」という思いにありました。当社は50年間以上にわたって水力発電を手掛けてきましたから、中小水力発電の分野においては高度な技術力を有しています。それは誇るべきものだと思っていますが、現場の社員には現状にとどまることなく、新しい技術に対する知識欲や積極性も持ってほしかった――私が社長に就任した当初からそう思っていたのです。
少し余談になりますが、私自身は元々、東京電力で経理や予算などの仕事に長年携わり、1993年から豊島支社長を務めました。そのとき、東京電力は現場に支えられている会社だと強く感じましてね。
かつて現場の営業といえば、電気を利用されたいお客様が申し込みに来られるのを待つばかりでしたが、今は多種多様な電気のメニューがあり、その使い方を提案する営業も必要です。供給先は一般家庭だけでなく、工場や病院などもありますから、それぞれのお客様にとって最良の電気をいわゆる「ジャスト・イン・タイム」でお届けするという、電力会社として一番重要な業務を現場は担っているのです。
もうひとつ重要なのが集金にかかわる仕事なんです。電気料金の支払いが滞ると3カ月ほどで送電が止まります。そうなる前にお客様から集金させていただくわけですが、現場の社員は700円、1000円の電気料金のために粘り強くお客様と交渉を重ねるわけです。
こうした現場の努力の積み重ねが、会社を支えているのだと。つまり、現場がきちんと動いていないと、会社の経営は成り立たないことを身に染みて感じました。現職に就いてからも、現場が大切だという思いに変わりありません。
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