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音を楽しんでいればそれが音楽
「そうでなくちゃいけない」ものなんて何もない

──山口さんは、子供向けのワークショップやパフォーマンス活動にも、とても力をいれられています。

山口:  好きなものを作らせて、演奏させて、「気持ちいい」とはどういうことなのか、「自分が面白いと思うことがいいことなんだ」ということを、知ってほしいと思って活動しています。

(子供たちからは)「またやりたい」と言ってもらえるのが嬉しいです。作りながらそういう気持ちが芽生えているということですから。子供と一緒にやるときは、子供と同じ目線までしゃがんでみます。子供は大人の高さまで背伸びはできないから、大人がしゃがまないと、子供の心が見えてこないように思います。

NHKの「ようこそ先輩」という番組に出演させていただいた時、「世田谷組曲」を子供たちの作った廃品打楽器で演奏しました。学区内には、神社の音、商店街の音、お寺の音、世田谷線の音など、さまざまな音があります。普段何気なく聞いているその音を認識させ、次に、町の中にある廃材で楽器を作って、その音を表現させる。神社の曲、商店街の曲、リズム、風の音、色々な音を、子供ならではの独自の発想で演奏してもらいました。緑道の曲や住宅街の曲まであり、私自身、面白い経験をさせてもらいました。

私は、音を出す人は皆ミュージシャンだと思うのです。リズムもハーモニーもなくても、音を楽しんでいればそれは一つの音楽として認められる行為だと思います。

そもそも、生きているということは、心臓がリズムを刻んでいるということ。そのリズムとふだん無意識に出している生活音をあわせて聞いてみると、それはもう音楽かもしれませんね。

パーカッショニスト 山口 とも 氏

パーカッショニスト 山口 とも 氏

──最後に今後の活動でチャレンジしていきたいことを教えてください。

山口:  公園を作ってみたいです。私が作った楽器を並べて、遊びに来た人がいつでも演奏して遊べる公園を作りたい。その辺の公園でやると近所迷惑になりますから、場所は考えなくてはいけませんが。

今の日本には、自分が何をしていいのか分からない若者がたくさんいます。それは周りにかっこいい、真似をしたくなる大人がいないからではないでしょうか。最近、職人がかっこいい、って、職人ブームが起きていますが、それは職人さんはずっと好きなことを一筋に続けているプロだから。好きなことをコツコツとやっていくことがどれだけ大切なことなのか。

日本、特に東京は、情報があふれすぎている。あらゆるものが世界一で、色々なものがあって、よく見えるけど、あふれる情報の中で、自分の感覚を信じてやりたいものを見つけていかなければなりません。何でもあるからこそ、逆に世の中に「何がないのか?」を考えないと、生き延びていけないのではないでしょうか。

私は昔から、人と同じことをやるのが嫌いでした。絵を描くにしても、同じものを描くなら、違う向きからから描く子供だった。「出る釘は打たれる、出すぎた釘は抜かれる」ってよく言われますが、そういう人がたくさんいる方が、世の中楽しくなると思います。

「こうでなくちゃいけない」ものなんて、何もないってことを、私の音楽や楽器作りを通じて感じて欲しいと思います。

──どうもありがとうございました。

前編はこちらからどうぞ)

山口 とも(やまぐち・とも)氏

 ガラクタに命を吹き込む打楽器奏者。
 祖父、山口保治は「かわいい魚屋さん」「ないしょないしょ」など数々の童謡を創った作曲家。
 父、山口浩一〔新日本フィルハーモニー/ティンパニー名誉首席奏者〕の長男として東京に生まれる。

 つのだ☆ひろのアシスタントとして音楽の世界に入る。1980年「つのだ☆ひろとJAP’S GAP’S」でデビュー。解散後、フリーのパーカッショニストとして中山美穂・今井美樹・平井堅・石井竜也・サーカスなど、数々のアーティストのツアーやレコーディングに参加。
 95年の音楽劇「銀河鉄道の夜」をきっかけに、廃品から様々なオリジナル楽器を作るようになる。おおたか静流とのスピリチュアルなライブパフォーマンスやロックの中山ラビ、アヴァンギャルドジャズの三宅純等活動の場を広め、2004年には日本演芸協会の福岡詩二氏から“打楽器コメディアン”の称号をもらい、浅草東洋館にゲスト出演し好評を博している。

 2003年4月~2006年3月、NHK教育テレビ「ドレミノテレビ」に“ともとも”の愛称でレギュラー出演していた。
 「音楽=音を楽しむこと」をモットーに近年は子供から大人まで楽しめる音楽を目指し、オリジナル廃品楽器を使ったパフォーマンス活動し注目を浴びている。

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