落語を聞いていると
便利さを“ありがたい”と思えてくる
──そうやって内弟子時代に不便な生活も体験されて、なおかつ落語で昔の人の生活を演じていると、今の生活の“便利さ”が過剰に思えたりしませんか?
米二: そうですね。けど今から昔の生活に戻れといっても無理ですし。これはこれとして受け止めつつ、その中で無駄なことは省いていくべきでしょうね。例えば電気や冷暖房のスイッチを点けっぱなしにしないとか。今は蛇口をひねればいつでもどこでもお湯が出るし、冷蔵庫には冷たい物が常にある。それを“当たり前”と思わずに“ありがたいことや”と思って生活すべきなんじゃないかと思います。そういう感覚を一人一人が持つだけでも違ってくるんやないですかね。結局は心の持ち方、それがエコロジーという形で行動に出てくるんやないかと思います。
──落語を聞いて昔の人の生活に触れると、そういう気持ちも芽生えやすいかもしれませんね。

落語家 桂米二師匠
米二: そうなんですよ。例えばさっき話に出た「始末の極意」という噺ですけど、これはまあエコロジーというよりは、節約…もっといえばケチの話なんですね。でも噺の根底には、この頃よく言われる「もったいない」という感覚があると思うんですよ。こういうことは、聞いているうちにお客さんにもおぼろげながらに伝わると思うんですね。もちろん、堅いことを考えずに気楽に笑いに来て頂いたらいいんですけど、それに付随していろんなことを知ることができる、それも落語の魅力なんですよ。それに想像力を使って観るものだから、ボケ防止にもつながる(笑)。ぜひ聞きに来てほしいです。
──あとは古典落語と一緒に、エコロジー落語を完成させて、ぜひ披露して下さい! そうすればより効果的じゃないですか。
米二: ええ、ぜひとも手がけてみたいですね。そういう依頼をお待ちしております(笑)。
桂 米二(かつら・よねじ)師匠
落語家。本名・澤田 正己(さわだ・まさき)。1957年、京都府京都市に生まれる。1976年、桂 米朝に入門。1977年、京都東山安井 金比羅会館「桂米朝落語研究会」にて落語「東の旅」で初舞台。その後、全国各地で行われる「桂米朝一門会」や「桂米朝独演会」に出演。1996年より「桂米二独演会」を開催。2004年からは東京でも独演会「京の噺家桂米二でございます」をスタート。そのほか各種出張落語のプロデュースも手がけ、病院など医療施設での公演も行っている。また演目に関しても、古典落語だけではなく妊婦さん向けの「胎教落語」、お寺向けの「仏教落語」などにも挑戦。コラム等の執筆活動も行っており、現在NIKKEI NETにて「京の噺家桂米二でございます」を連載中。特技は鼓、義太夫、家事全般。エリック・クラプトンの熱狂的ファンとしても知られている。
桂 米二ホームページ「米二ドットコム」
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