相乗りでお得感もある「プール&ライド」
家族の協力による「キス&ライド」
──日本国内のパーク&ライドは、現在どのようなフェーズにあるのでしょうか。
中村: 国内におけるパーク&ライドは、いまだに認知度の低さが否めません。以前、あるテレビのクイズ番組から取材の電話があって、クイズの問題にしたいと言われたくらいです(笑)。
「パーク&ライド」という言葉も知らなければ、その内容も知らない……。これでは、その背景にある“環境負荷の低減”といったレベルまで理解されている訳がありません。しかし、これまでに(前編で)触れた福岡や金沢の例などからも分かるように、一部には確実に浸透しているんです。
日本でも、車の使い方自体は皆さん上手だと思いますよ。あまり褒められた例ではないですが、ベイブリッジの「大黒パーキングエリア」では、土曜日になると急に利用者が増えます。調べてみて分かったのですが、なんと千葉県のゴルフ場に行く際、各自が大黒パーキングエリアに集合し、そこから先はゴルフバッグを積み替えて1台の車に同乗して行くんですね。
すると、東京湾を渡る「アクアライン」の利用料金が安く済みますし、これは想像ですけど、部下が上司の家を回ったり…(笑)という面倒な作業もなくなります。これは、サービスエリアの使い方としては正しくないので、やめるべきだとは思っています。
このような行動を、専門的にはパーク&ライドの類似語で、「パーク&プール」と呼びます。これは米国では政策的に実施されているもので、特定の駐車場に車で集まり、そこから相乗りしてオフィスに行こうという通勤の方法です。
──パーク&プール以外にも類似語はあるのでしょうか?
中村: 同じく類義語として「プール&ライド」という方法があります。これは、相乗りした車で駅まで行き、そこから電車を使うというものです。
ポートランド(米国オレゴン州)の郊外にある路面電車の駅では、プール&ライドの車は駅寄りに、パーク&ライドの車はそれよりはほんの少し離れた場所に駐車する、というシステムが採用されています。車の稼働台数を抑えられるだけでなく、利用者にとっても都心での駐車場代の節約につながるというメリットがあります。
類似語でもうひとつ重要なのは「キス&ライド」。こちらは通勤時に、郊外の住宅地などから奥さんや家族が自家用車で駅まで送迎する方法です。米国では駅までの送迎を推奨し、地下鉄の利用者を増やそうというビジネスのイメージがあります。日本では郊外で自然発生的に行われているケースがありますね。
これらの類似語はすべて米国からきたものですが、数多くのパターンが出てくるということは、車にまつわる様々な問題が深刻化していることの“裏返し”とも見られます。
ユニークなのは、米国でも特に注力しているサンフランシスコやポートランド、シアトルなどにおける目標値を、東京はかなり以前に達成しているということです。あくまで「100人のうち何人が公共交通を利用するか」という基準で考えた場合ですが、米国では100人のうち10人乗ってくれれば万々歳。これに対して東京では、100人のうち80人くらいが電車に乗っている。
東京では地下鉄などを使った方が便利なので、どのくらいの人が公共交通を使っているかで比べると、日本と米国では話になりません。しかし、行政の取り組みという面では、米国西海岸の方がレベルが高いといえます。
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