第19回
2013年、CDMはどうなる。新枠組みでも継続に期待
回答者/水野勇史 財団法人・地球環境戦略研究機関(IGES)
気候政策プロジェクト シニアエキスパート
将来の国際的な温暖化対策は決まっていませんが、2013年以降もCDM(クリーン開発メカニズム)から排出権は発行されますか。CDMは次期枠組みに組み込まれるのでしょうか。
現在の京都議定書では、CDMから排出権を獲得できる期間は最大で21年間。京都議定書は第1約束期間後も第2約束期間、第3約束期間─と継続することを前提としており、2012年末でCDMが無くなると明記した公式文書はありません。従って2013年以降も、第1約束期間に進行中のCDM事業からは排出権が獲得できると解釈できます。
しかし一方で、京都議定書の第2約束期間についての交渉は始まっていますが、現時点で合意のめどは立っていません。2013年以降は京都議定書とは別の国際的な枠組みを構築すべきという提案もあります。仮に京都議定書とは別の枠組みになった場合、既に事業が進んでいるCDM、そして、CDMという制度そのものが2013年以降、どうなるのかについては、現時点では不確定であると言わざるを得ません。
ただ、筆者自身は、仮に新たな枠組みになっても、2013年以降もCDM事業からの排出権の発行は認められるのではないかと考えています。
その理由は3つあります。まず、温暖化対策には途上国の関与が不可欠で、CDMは現在、途上国政府・企業の温暖化対策の促進に貢献しています。そのCDMからの排出権発行を2013年から廃止するのは、途上国の意欲を大きくそぐことになります。
第2に、温暖化対策への市場メカニズムの活用は、根強く支持されています。CDMは、コストの安い温暖化ガス削減を見つけ出せる制度です。そして、温暖化ガスを削減した人に報います。この点は、今後の温暖化対策に不可欠な特徴といえます。
第3に、CDMのインフラは既に整っています。京都議定書が誕生した当時、CDMは全く新しい概念でした。膨大な時間を費やし、関係者が努力を重ね、ルールや文書の様式をはじめ必要なインフラが整備されました。そして実際に運営が始まり、世界中の多くの企業・政府関係者がCDM事業にかかわっています。これだけの制度を廃止し、代わる制度をすぐに用意して始めることは困難といえます。
ただ、CDMの仕組みが継続されるとしても、CDMは京都議定書に基づく制度なので、2013年以降に別の枠組みができる場合は別途、取り決めが必要になるでしょう。
いずれにせよ、2012年で温暖化対策をやめようという議論は無く、むしろ強化すべきというのが国際的な共通認識です。CDMという制度が温暖化防止に貢献する限り、無くなることはないと考えられます。

上記の記事「2013年、CDMはどうなる。新枠組みでも継続に期待」は、『日経エコロジー』2008年1月号に掲載された特集です。なお、記事中に記載した内容については、『日経エコロジー』2008年1月号掲載時の内容となっております。
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