キリングループの「水源の森づくり」
林 万喜子氏
キリングループでは、「CSRは社会から信頼をいただくための取り組みである」と位置づけ、大きく3つの取り組みを進めている。
1つ目はコンプライアンス、品質保証、アルコール関連問題など企業としての基盤となる取り組み、2つ目は地球環境保全、食文化振興、スポーツ支援など社会とのコミュニケーションを深める取り組み、そして3つ目は社会貢献、ボランティア支援など、社会との共生を目指す取り組みである。
その中でも水源の森づくり活動はグループとしてのコミュニケーションと社会貢献の両方に位置づけられる。
「当社は、夏に雨が少なくて水不足が懸念される時には真っ先にマスコミから取材される企業です。実際に、グループ全体で年間3000万立方メートルの水を使用しており、これは90737ヘクタールの森の恩恵を受けています。このような企業として、水源の森づくりに対して社会的責任があると考えています」(林氏)。
最初の活動は1999年の横浜工場より開始し、2006年までかけて国内11のビール工場すべて、およびキリンディスティラリー、キリンファーマに運動を展開している。
基本の活動は、工場の上流域で車で1時間から1.5時間程度のエリアを基本として、工場が事務局となって近隣の支店やグループ会社事業所にも呼びかけて活動を行っている。活動地面積は合計1000ヘクタールにのぼる。富士山と琵琶湖が東西2大拠点となっており、他にも屋久島の屋久杉保護活動など、工場以外にも活動が広がりつつある。

キリングループ「水源の森・水の恵みを守る活動」全国マップ。「水の恵みを守る活動」は、1999年、キリンビール横浜工場より活動を開始し、現在は全国11のビール工場に加えて「キリン富士山麓水源の森」(キリンディスティラリー)、「キリン高崎の森」(キリン高崎の森)の計13カ所で活動を行っている。(講演資料より抜粋)
実行にあたっては、安全への配慮を最大限に行っている。具体的には、「環境活動の安全ガイドライン」をすべての事業所で共有し、専門家のアドバイスを受けて作業内容や参加者の範囲について設定を行う。
また事務局では、リスクアセスメントと点呼、緊急連絡用の名簿の整備を行った。昨年は創業100周年を迎え、あらためて活動参加を社内で呼びかけた結果、4270人が事故ゼロで参加することができた。1999年の活動開始からの参加者数累計は10000人を超えている。
取り組みの基本は、地域NPOや森林組合と、社員ボランティアの協働体制をとっている。自治体とパートナーシップを結んでいるのは高崎市、神奈川県、滋賀県、高知県、兵庫県三田市などである。また、より長期の取り組みとして、国有林の「法人の森林」制度を利用している。
活動にはグループ企業従業員、取引先社員の他、キャンペーンなどによる社外の参加者の公募も行っている。活動内容は間伐や下草刈りなどの手入れのほか、専門家のアドバイスを受けての植樹も行っている。樹種の選定は地域植生を尊重しながら、基本的には針葉樹林から混交林への移行を促進している。参加者の評価は上々で、活動終了後のアンケートでは8割が「良かった」と評価している。
キリングループOBで、水源の森活動を支えている人もいる。高知県の水源の森「たっすいがはいかん!の森」の命名者である元高知支社長の宮本典晃氏は、早期退職制度を利用して退職後、NPO法人の代表として水源地植林やアユ放流など精力的に活動している。
その他の森づくり支援活動として、林氏は、ホームページ「エコロジー・クリック募金」と「コラボ倶楽部」を紹介した。
「エコロジー・クリック募金」は、Webサイトでクリックすることで1クリック=1円をキリングループが「緑の募金」や環境保全活動団体に寄付する、生活者が参加できる仕組みだ。
また「コラボ倶楽部」は、従業員のボランティア活動をマイレージ化し、ポイントに応じた金額を会社が環境保全活動団体に寄付する制度である。
「今後も地域との協働を深め、活動を継続していくことで、豊かな森づくりと貴重な水資源保全に貢献し続けたい」と林氏は述べた。

キリンホールディングス株式会社 CSR推進部社会環境室
林 万喜子氏
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