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環境的に「食べる」〜レストランを選ぶ

2005年7月13日

レストランや外食チェーンは都市生活に欠かすことはできません。

環境によい生活というと、自分で有機野菜などを買って自宅で調理するというイメージが強く、スローフード運動とも関係が深いわけですが、では外食する、レストランに行くことは環境はあまりよくないのでしょうか。ひとくちに外食産業やレストラン、あるいは総菜を買ってきて家で食べることとくくってみても、環境面から考えて、やっぱり問題があるという場合と、けっこういいことだ、といえる場合とがあります。

ここまでのところで「有機系食材を選ぶ」「近くのものを食べる」という方法が環境面では有効という話をしました。だとすると、こういう食材を選んで調理するレストランなら、環境にもよいということになりそうです。最近は、ファミリーレストランや居酒屋チェーンでも有機野菜や地鶏など、「安全と環境面を考慮した食材を使っていますと」とメニューに書いているところが増えてきました。こういった料理を出しているレストランに足を運び、メニューを選べば、そうでない場合と比べて、環境面で貢献することができます。

疑い深い人なら、「本当に全部が有機野菜なの?」と考えてしまうこともあるでしょう。また企業が時に都合のいい表示をすることがあるのも事実です。しかし「表示にウソを書く」というのは一種の詐欺行為ですから、それは別の問題しておきます。ここでは「ちゃんとした店なら、表示にウソはない」と考えて、進めることにします。

また有機系食材や近くの食材は本当にすべてが環境によいの?という疑問もあるでしょう。そして実際、必ずしもそうではない場合もあると思います。しかし大きな傾向を見るなら、化学農薬や化学薬品をふんだんに使い、遠くであってもかまわず運んでくるよりは、有機系だったり、近くの食材のほうが、環境面で有利という傾向は間違いありません。

有機系食材の普及やゴミのリサイクルにも好影響

さて、有機系食材や近くの食材を選んで出すレストランに(積極的に)行くことの、環境面でのメリットは、他にもあります。そのレストランにとって有機系メニューを頼む人が増え、売りになれば、もっとメニューを広げようとするのが企業です。

最初はひとつの野菜だけだったものが、売れると見れば、他の野菜に広がり、米も、魚も、肉も、と環境に配慮した食材を選ぶようになるでしょう。こうなると、個人がスーパーマーケットや八百屋で有機系の食材を選ぶより、レストランや外食チェーンがまとまって購入した方が、生産者にもよいメッセージを与えることができます。安全で、環境に配慮した農業のほうが売れると見れば、生産者も積極的につくるようになるのです。

外食チェーンの中には有機系食材の品質と量、価格を確保するために、自ら農園をもつところも登場しています。専用の農園をつくり、有機野菜を育て、地鶏を飼い、野菜や肉、卵をレストランで出すことで、農業地域を活性化し、耕作放棄を防ぎ、環境面での保全にも貢献しています。

以前はファミリーレストランは「安く、都会人の好みの味付けをして、大量に出す」という考えが主流でしたが、次第に食の安全や環境を付加価値にするところが出てきて、成功しています。しかも実際の価格を見ると、有機系食材を使っているから割高とまではいえないものもあり、企業努力がうまく働くと、環境にも収益にも顧客にもメリットを出すことができるのです。

レストランや外食チェーンが環境面に目を向けると、さらなるメリットが生まれます。外食チェーンなどの企業は、食品リサイクル法の適用を受けることもあって、生ゴミの処理には家庭より厳しい行動が求められています。

上記の「農園をもつチェーン」の場合、調理の時に出る野菜くずなどは集めてたい肥化し、農園の肥料にすることで、農園とレストランの循環が実現しています。調理済みの食べ残しは、油分と塩分が多いため、たい肥の材料には向かないので、こちらはゴミを使った発電や発行させてバイオガスを取り出すなど、別の方法取る必要がありますが、いずれにせよ、じょじょに対応が進みつつあります。

ゴミは、分別すれば再利用の方法が考えられるのですが、ごっちゃになってしまえばリサイクルが難しくなります。レストランや外食チェーンのように大量にゴミが出るところなら、分別のシステムさえつくれれば、量がまとまり、処理の方法も考えやすくなります。この点、少量のためにひとつのゴミ箱にみんな入れてしまう家庭より、環境面では対策が取りやすいのです。

まだ企業によって対応にばらつきがあるのは事実ですが、食材面、廃棄物の面の両方で先進的な取り組みをしているところも出てきているので、外食をするなら、そういった店を選ぶことで、環境面の活動を支援することにもなるのです。

コンビニやスーパーの弁当には課題あり

では、企業が料理を提供するという点で近い業態の、弁当や総菜はどうでしょうか。

今弁当販売の中心はコンビニです。弁当やおにぎり、麺類まで、大量の商品が店に並べられている状況です。弁当やおにぎりでも、有機系食材を使うもの、食品添加物を減らすといた動きもあるし、食品廃棄物のリサイクルもレストランや外食チェーンと同様のメリットが期待できます。

しかし一方で弁当やおにぎりなどは、つくりすぎによる廃棄物が問題です。コンビニやスーパーから出る売れ残りは、年間60万トンを超え、300万食分が廃棄されています。明らかにつくりすぎであり、食材や、野菜くずの処理の方法がどうであれ、帳消しになってしまいます。

売れ残りの原因は、消費期限が短い弁当などを、いつも在庫しておく必要があるという点です。レストランでは客が注文を出すまで食材はある程度長く保存できる状態にしておけるし、同じ食材が複数の料理にも使うようにするなどして、使い切る方法がありますが、つくってしまった弁当やおにぎりは消費期限が切れるとどうしようもありません。

とはいえ、この問題はコンビニやスーパー業界にとっても大問題で、廃棄が多いということはムダなコストがかかっているということを意味しているからです。消費期限の見直しや在庫管理の徹底で無駄をなくす努力はしていますが、常時在庫が期待される業態だけに、本質的な解決は難しいでしょう。

弁当を冷凍保存しておき、客の注文のタイミングで解凍する方法なら廃棄リスクは減らせますが、おにぎりやサンドイッチまで冷凍というわけにもいかないでしょう。現状ではコンビニやスーパーの弁当は、環境面ではあまりよい評価はできません。今後のチャレンジに期待したいところです。

外食をする生活は、都会的で環境にはあまりよい影響がないと考える人もいるかもしれませんが、環境面にも配慮している例も出てきました。全体としてはまだまだ不十分ですが、お客として外食産業の環境化を後押しするという視点も持っていきたいものです。

コメント一覧

この記事のコメント受付は終了しました。

製品の環境負荷低減を業とし、プライベートではNGOの
運営を行っている者です。貴紙は会社で購読しています。
(現在の議題と異なる意見です。すいません)

さて、数日前、経団連会長の奥田氏(トヨタ自動車会長)が天下り禁止を撤回するという事がNewsで流れました。(記事の例→
http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?m=m20050711-054&e=nihon_keizai_dantai_rengoukai)

この事を皆さんはどのように感じましたか?
CSRとは、社会に対する公平性を自ら評価・公表する事だと理解していますが、奥田氏の発言は「天下り」という行為が社会的公平性に照らし、どのようなマイナス評価なのかを、理解されていないように、見えます。もしくは、CSRを軽んじられているのではないでしょうか。

また、本業の自動車販売は、三菱自動車の例を引くまでもなく、一般消費者が主なステークホルダーですが、一般消費者の「天下り」に対する感覚への配慮があったとも思えません。

その後NTT社長も天下りを擁護する発言をしています。

ここ数年の業績は過去最大となり、折しも日eco8月号での「環境ブランド調査」ではトップでした。CSRへの企業取り組みを本物にする意味でも、このギャップをこのコーナーでも取り上げて頂きたいと思います。(渡辺さんはどうお考えですか?)

渡辺 パコ

インターネット上に浮かぶ総合マガジン&メディア「知恵市場」主宰。グロービスマネジメントスクール講師(ロジカルコミュニケーション、クリティカルシンキングクラス担当)。有限会社水族館文庫代表。

主な活動領域は、環境戦略、ベンチャービジネスのスタートアップ、ナレッジマネジメント、コーポレイトコミュニケーションなど。

1960年東京生まれ。学習院大学哲学科卒。コピーライターとして広告、会社案内の制作、PR戦略の企画立案などを担当。88年に独立して100社以上にコーポレートコミュニケーションプランを提供する。98年からコンサルティング業務を開始。

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