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安い夜間電力は環境によいか

とはいえ、実際にはエコキュートは夜間の電力を使って動かされているので、別の要素が出てきます。夜間電力はほとんどが原発でつくられた電力です。原発は火力調整ができないので、夜間、電力消費が少なくなっても動かしています。そのため、夜間に需要があると原発の電気が効率的に使えるので、電力会社は夜間電力の利用を進めているのです(料金も安い)。原発は火力発電所よりはるかにCO2発生量が少ないので、原発の電力(夜間電力)を使い、エコキュートで給湯すれば、CO2発生量はガス給湯器と比べて、かなり少なくなるといえます。

こう考えてくると、確かに「夜間電力利用のエコキュート」は環境によい(CO2発生量が少ない)といえそうですが、一方で原発は放射性廃棄物の問題が解決しておらず、事故発生のリスクもあることから、エコキュートが環境によいと考えるかどうかは、原発自体の環境影響をどう評価するかということにかかってきます。僕は基本的に原発は環境によいとは考えていないので(特に放射性廃棄物の処理方法について)、エコキュートもまた、ガス給湯器と比べて環境によいとは、考えていません。

「IHクッキングヒータ」「エコキュート給湯」のふたつ以外は、基本的にはガスを使う住宅とオール電化住宅との大きな差はないので、このふたつの環境評価がオール電化住宅の環境性能ということになりそうです。IHクッキングヒータはガスと比べるとCO2性能で劣り、エコキュートは原発を「環境によい」と考えるかどうかで変わる、ということになります。

エコキュートを環境によいと宣伝するのは主に電力会社です。原発は環境によいという立場に立っているので当然ですが、あなたが原発をどう考えるかによって、オール電化住宅の環境性能は、判断が変わりそうです。オール電化住宅を環境によいという人は、原発が環境によいと考えていることとイコールなのです。

渡辺 パコ

インターネット上に浮かぶ総合マガジン&メディア「知恵市場」主宰。グロービスマネジメントスクール講師(ロジカルコミュニケーション、クリティカルシンキングクラス担当)。有限会社水族館文庫代表。

主な活動領域は、環境戦略、ベンチャービジネスのスタートアップ、ナレッジマネジメント、コーポレイトコミュニケーションなど。

1960年東京生まれ。学習院大学哲学科卒。コピーライターとして広告、会社案内の制作、PR戦略の企画立案などを担当。88年に独立して100社以上にコーポレートコミュニケーションプランを提供する。98年からコンサルティング業務を開始。

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