環境的に「住む」〜都市に住む
今週からテーマを変えて、「住む」についてお話しします。
住宅は、人間の日常の生活空間ですから、住まいが環境によくない傾向にあれば、環境は悪影響を受けるし、住まいの環境性能が上がれば、わずかな変化でも大きな改善が望めます。住まいの環境化は環境問題解決のために、とても有効なポイントなのです。
しかし住まいを環境化するというアプローチには、大きな欠点というか、弱点があります。それは住まいのオーナーが個々バラバラで、「環境によい」ことがあっても、取り入れるかどうか個人にまかされがちになってしまい、やる人とやらない人が出てしまうことがひとつ。もうひとつは、住宅の耐用年数が長いため、全体の構造を変えるような変更は建て替えや大規模なリフォームの時にしかできないという点です。このふたつから、環境によい影響を与えるという方法がいくつもあっても、まとまった効果を短期間に出すことが難しいというのが欠点です。
とはいえ、有効性は大きな領域なので、環境面での改善ポイントの認知を広めて、少しずつでも広めていくことに、大きな意味があります。
都市での生活の方が環境負荷は低い
今回取り上げるテーマは、住まいをかまえる場所について。農村や田舎に住むより都市に生活した方が環境的にはよい、という点です。一般的には、田舎で暮らすことは、よい環境の近くに生活することで、環境にもよい影響を与えるというイメージもありますが、実際には都市での生活の方が、環境負荷が低いのです。その違いが出る理由を考えていきましょう。
まず第一に、交通面や輸送の面。都市では人々が密集して生活しているので、移動距離が短くて済みます。通勤時間は都市のほうが長くても、移動距離はずっと短いので、移動のエネルギーは小さいのです。また公共交通機関が充実しているので、個人個人がクルマに乗って通勤するのがあたりまえの田舎と比べると、大都市のほうが一人あたりの移動に必要なエネルギーも少なくて済みます。田舎の方が空気がきれいという傾向はもちろんありますが、それは人口の絶対数が少ないために、一人あたりが出す環境負荷が大きくても、全体としては影響が小さいからなのです。
都市部では交通が集中することで渋滞が起き、余分な環境負荷をかけているという状況もありますが、日本では東京でも慢性的な渋滞がひどい道は、全体から見ればそれほど多くはなく、スムーズに交通を流すという道路行政の考え方もあって、渋滞による悪影響よりは、密集して暮らすよい影響のほうが大きいのです。
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