ひとつの切り株から2本残して成長させると、根元から枝分かれした木になります。この木の形は人が手を加えて育ったことの証拠で、この木で萌芽更新から30〜40年というところでしょうか。1970年前後に以前の木を伐採し、利用したあと、萌芽を2本残したのでしょう。太さからみて、もう本来の切り時は過ぎてしまい、放置されすぎた木に見えます(写真4)。

写真4 根元から枝分かれした木
人が自然と関わるというと、開発したり、木を切ったり、植えたりということばかりを思いがちですが、実際には、自然のメカニズムを利用し、それを人の手で一部改変することで、かえって木の生長をよくし、森にしっかりした木を増やすことも、かかわり方のひとつです。
ちなみにこういったかかわりをいっさいやめて、萌芽が出るままに放置すると森はどうなるでしょうか。最初は勢いよく成長するのですが、木の密度が高すぎて、日照が受けられなくなり、木は太くなれずに光を求めてどんどん上に伸びていきます。しかし、生存に負けたものから順に倒れてしまい、森の中は混んでいるのに、倒れた木ばかりになっていきます(写真5)。

写真5 放置すると細く倒れた木ばかりに
生き残ったものが太くなればいいのですが、実際には、1本倒れると周囲の木をまきぞいにしてしまい、共倒れが多くなって、太く育つ木がほとんどない、痩せた木ばかりの状態になってしまうのです。今、日本の農村の森は、こんな森ばかりです。
自然のメカニズムを利用して、人がそれを取捨選択することで、むしろ太く、しっかりした豊かな森ができる。これが日本の里山林(さとやまりん)です。人の手が関わることの意味を、改めてとらえ直す必要がありそうです。
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