自然と付き合う〜木を管理する(前編)
今回も、前回に引き続き、木と森について考えたいと思います。じょじょに、「木」から、昆虫や鳥、動物などについても話を移していく予定です。
今週は、木を人が管理するということについて、考えてみましょう。
前回、134回に対するコメントで、「通りすがり」さんから、「人の作為によらず存在するものや現象、また少しも人為の加わらないことを「自然」と呼ぶのでは? 用語の定義は明らかでないと、せっかくの本意が理解されにくくなるのではないでしょうか。」という意見をいただきました。この点をどう考えたらいいのでしょうか。
世界にはいろいろな森林がありますが、まず日本の森と木について考えています。
日本ではどんなところに「少しも人為の加わらない森」が存在しているのでしょうか。国立公園内の森林なら、開発が規制されているから、「人為が加わらない森」でしょうか。
たとえば世界自然遺産の知床の森でも、明治期に開発の手が入り、伐採されて牧畜などが行われた場所があります。しかし厳し過ぎる自然環境のため、開発は放棄され、伐採された土地は笹原になってしまいました。こういった場所は、北海道にはたくさんあり、僕がかかわっているNPO法人環境リレーションズ研究所で協力している、北海道大学の演習林(北海道中部)も、明治期の耕作放棄地で、笹原を切って、エゾマツなどを植えています。
あるいは、北アルプスの上高地はどうでしょうか。今はマイカー規制もある上高地周辺ですが、よく見ると、カラマツばかりで、しかも規則正しく列をなして並んでいるのがわかります。太さも揃っています。この森も、だいたい明治期に植林された森で、そのさらに前は松本藩の管理下にあり、計画的に伐採・植林が繰り返されて木材に使われていました。とはいえ、その管理が十分行き届かず、たびたびの違法伐採禁止令にも関わらず、明治の初期にはあらかた切り尽くされて、裸になってしまいました。そこに、明治政府の指示で植林され、育っているのが今の上高地周辺の唐松林です。
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