第5回 経済活動と環境保全の両立を目指して
湿原回復事業が進展するエバグレーズ
北米大陸の南東部分に突出するフロリダ半島は南北600km、東西200kmで、本州の半分ほどの面積があるが、大半は平坦な湿地であり、その南側の約60万haはエバグレーズ国立公園に指定されている。日本最大の湿原のある釧路湿原国立公園の面積が2万6800haであるから、その20倍以上という規模である。内部には約3万の湖沼があり、約600種の魚類、約300種の鳥類が生息する自然環境である。
20世紀初頭のフロリダの人口は10万人程度で、南部にはほとんど住民が存在しなかったが、温暖な気候を目指して退職した人々が移住し、冷房装置の発明によって工場が進出し、さらにディズニー・ワールドやユニバーサル・スタジオのような娯楽施設や、ケープ・ケネディ宇宙基地が建設されて急速に人口が増加し、現在では1700万人が生活する地域になっている。
その結果、湿原は次々と干拓され、農業用地や住宅用地に転換されていった。20世紀初頭には、湿原の面積は現在の5倍以上あったというから、いかに広大な面積が干拓されてきたかが理解できる。そして、半島の中央にある琵琶湖の3倍にもなる湖沼オキチョビーには氾濫を防止するために湖岸を一周する堤防が建設され、そこに北側から流入する河川キシミーの相当部分が直線のキシミー運河に改修されてきた。
ところが1990年代になり方向が転換しはじめた。延長90kmのキシミー運河のうち36kmを廃止して以前の蛇行した河川に復元し、消滅した1万7400haの湿原のうち1万ha以上を以前の湿原に復元するというエバグレーズ復元計画が決定されたのである。すでに一部が実施されているが、その影響で魚類や鳥類など320種類の生物が回復しているということである。
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