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投資の社会責任から企業の社会責任への拡大

企業の社会責任を問題とする活動は最近になって登場したわけではない。すでに1790年代のイギリスでは奴隷を酷使して生産している砂糖の不買運動が発生しているし、20世紀になってイギリスやアメリカでは、キリスト教会が武器や煙草や酒類を商売とする企業を投資対象から除外する方針を発表している。さらに1960年代に自動車製造業を相手にしたラルフ・ネーダーの活動も有名である。

しかし、企業も自体の社会責任を真剣に考慮しなければならない時代をもたらした最初の契機は「投資の社会責任(SRI)」である。1970年代初頭にアメリカに登場した「パックス・ワールド・ファンド」が嚆矢とされるが、投資対象の企業を財務尺度によってではなく、法律遵守、社会貢献、環境配慮などを尺度とした評価によって選択するという資産運用会社である。

その延長に登場したのが「企業の社会責任(CSR)」であり、企業が財務問題と同様に、社会問題や環境問題を企業の責務としてステークホルダーとの対応のときに導入することである。数値によって明確に表現される財務価値と相違して、社会への貢献とか環境への配慮という曖昧な評価は無視することも可能のようであるが、取引相手や消費者層が敏感になり、企業は無視できなくなったのである。

本年2月に『ニューズウィーク』が発表した企業の社会責任の順位でスイスの鉱山会社エクストラータが首位になった理由はカナダでのニッケル採掘の利益の1%を先住民族イヌイットの文化保護に提供していることであり、同様の鉱山会社アメリカのアルコアが148位と評価されたのは、アイスランドに建設した水力発電施設が環境団体から批判されたことであった。このような評価が企業を左右するのである。


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