1年前倒しで新モデルを発表した理由
アイスランドで行われた試乗会のプレスカンファレンスで、1年発表が早まった理由を尋ねてみたが、あまり明確な答えは返ってこなかった。ただし、ゴルフ6のマーケティング責任者は生産時間を短縮してコストを下げたことを明らかにしている。さらに先代にはV6エンジンを搭載するホットバージョンが用意されていたが、今回はV6を廃止したことで余計なコスト増加を抑制した。
開発期間を早めた理由は、企業の収益改善という意味合いが大きいのかもしれない。しかし、実際はもう一つ別の理由があるだろう。というのは先代のゴルフ5が誕生した当初は直噴リーンバーンエンジンとして2リッターのFSIエンジンがデビューしている。いわゆる成層燃焼システムである。
しかし、すぐにリーンバーンシステムを廃止し、直噴はストイキ(理論空燃比で燃焼)を採用すると表明。VWが明確な直噴技術に特化する意志を決めたのはこのころである。そしてついにダウンサイジングコンセプトのTSIエンジンが登場し、DSGと組み合わせることで走る愉しさとエコを高い次元で両立した。
つまりゴルフ5の世代にはパワートレーンが大きく進化し、初期モデルと後期モデルではその考え方も180度方向転換したのである。ゴルフ6の開発を早めた理由は、紆余曲折していたパワートレーン戦略が明確になったことを、さらに強調したいという意思の表れではないだろうか。
VWが発表した言葉を借りるとゴルフ6の最も大きな技術的なハイライトは「ドライバーアシスト」であるという。日本ではすでになじみ深い技術なので特に新しいとは思わなかったが……。
欧州では価格競争力が厳しいゴルフのセグメントでは、こうした電子デバイスを積極的に投入することは珍しい。まずはチェックしたのはアダプティブ・クルーズコントロール(ACC)だ。77GHzと24GHzのミリ波レーダーと組み合わせることで、自動的にブレーキを介入することができる追従可能なオートアクセルだ。このシステムは低速でも使うことができ、完全停止までアシストする。
さらに縦列駐車をアシストする自動パーキングシステムや、アダプティブダンパー(可変減衰力)DCCの採用など、安全性と利便性と快適性をさらに強化している。こうした技術の多くは既に登場している上級モデルの「パサートCC」で実用化したものだ。このなかで最も効果的だと思ったのはDCCと呼ばれる可変ダンパー。このシステムのおかげでゴルフ6はさらに上質な乗り心地を可能とした。
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