ディーゼルの特性を生かせる ギアボックスが必要!
日産もCR-Vに負けじと、欧州でコンパクトSUV、エクストレイルのディーゼル仕様車を販売中だ。ホンダよりも長い歴史がある日産のディーゼル技術は、最近注目されている。今回のエクストレイルには173PS/360Nm(6MT)と150PS/320Nm(6AT)のディーゼルエンジンが搭載されている。
日産のディーゼル技術の特徴は、圧縮比が15.6と低いことだ。自己着火するディーゼルエンジンは圧縮比を下げる方が技術的には難しい。圧縮比が低いと燃焼温度を下げることが可能となり、その結果、窒素酸化物の排出を抑えることができるし、ディーゼル特有の音や振動も低減できるというメリットがある。
150PSのエンジンは320Nmのトルクを発生するが、ホンダのディーゼルとはその振動音で違いを感じた。圧縮比が低いので、静かなのである。
しかし気になるのは、ディーゼル特有のトルクの立ち上がりが曖昧なこと。ガソリン用に開発されたトルコンATでは、トルク許容範囲に限界があるので、AT仕様車は出力が低くなってしまっている。MT(173PS)仕様のディーゼルが持つ力強さとは大きな違いだ。
トルクフルなディーゼルでも、中途半端なトルコンATと組み合わせると、せっかくの魅力が半減してしまう。ディーゼルのメリットを生かすには、ディーゼルの特性にあったギアボックスが不可欠だ。日本メーカーはまだディーゼルの特性に合ったATを持っていないというのが実情で、当面はMTのディーゼルから導入することになるだろう。特性が合わないギアボックス(ガソリン用ATの安易な転用)ではディーゼルの印象が悪くなりかねない。

欧州仕様の日産「X-TRAIL」
2008年は、日本の乗用車の“ディーゼル元年”となりそうだ。日産はエクストレイルのディーゼル仕様車を来夏には発表すると見られる。また、2008年中にはホンダからアコードのディーゼル仕様車が登場するだろう(これには筆者の期待も含まれるのだが……)。
2009年になると、VWやプジョーも自慢のクリーンディーゼルを日本に導入するという。ディーゼルで出遅れたトヨタはハイブリッドの御旗を掲げ過ぎたので、国内にディーゼルを展開する計画を発表していないが、やがてディーゼルに力を入れることは避けられないだろう。なお、スバルは2008年1月にスペインで水平対向エンジンのディーゼルを「LEGACY(レガシィ)」でデビューさせる予定だ。
ディーゼルは将来のバイオマス燃料(第2世代)の“受け皿”として必要だし、持続可能な内燃エンジンという意味ではガソリンよりもディーゼルに分がある。軽油の価格が安い日本では燃費の良さも考慮すると、ユーザーの経済的負担をおおむね半減できるだろう。
頑丈で長持ちするディーゼルに合わせて、車体も長寿となれば、LCA(ライフサイクルアセスメント)としても環境に有利だ。経済性とCO2削減、さらに安全性と快適性を持ったディーゼル仕様のSUVこそ、これからの日本に必要なクルマなのではないだろうか。
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