環境対応ダンパーの登場
KYBが掲げるビジョンとはどのようなものだろうか? 企業全体では「地球との共生」をビジョンとして打ち立てているが、技術戦略では「化石エネルギーに頼らず、環境負荷低減を可能とする製品開発」であると、山本社長は述べている。
元々、油圧緩衝器機であるダンパーには、化石燃料から作られる油(オイル)が常識的に使われてきた。オイルの持つ粘性特性や潤滑特性がダンパーには欠かせない性能であったからだ。
KYBではダンパーの本質に着目し、従来のオイルとは違った新しい素材の開発に挑戦している。まもなく開催される東京モーターショー(一般公開は10月27日~11月11日)では、その第一弾である「環境対応ダンパー」(Green Technological Damper:GTD)がデビューすることになった。
KYBのクルマ向けダンパー(ショックアブソーバと呼ばれることがある)のシェアは、国内では53%、欧州では20%、北米では10%、全世界では20%のシェアを誇るダンパーのリーディングメーカーである。これだけのシェアを持てば、メーカーとして化石燃料の代替を検討することは当然かもしれない。
さて、1台のクルマに使われるダンパーオイルはどのくらいの量なのだろうか。クルマの大きさにもよるが、1本のダンパーには250~300ccのオイルが使われている。クルマには複数のダンパーが使用されているから、1台分ではなんと1L以上の量となるではないか。
全世界で製産されるダンパーのオイル使用量は、1年間で8万3000kLにも達する(2004年推計)。この量は25mプール148杯分、あるいはドラム缶41.5万本に換算できる。
従って、これだけでのオイルを使わないでダンパーが開発できれば、環境負荷を大幅に下げることが可能だ。それではいったいオイルの代わりに何を使うのか。分かりやすくいうと「空気と水とバイオ」なのだ。

クルマのダンパーオイル使用量(出典:KYB株式会社)
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