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実際のインプレッションはどうか?

実際に走ってみた。6速MT車では、スロットルをほとんど踏み込まなくても、アイドル回転で走り出すことが可能なくらい、低回転のトルクとレスポンスが優れている。わずか1300回転で400Nmという最大トルクが得られるから、まるでV8の5リッタークラスのエンジンで走っているようだ。

日本では馴染みがないBMWのMT車でも、低い回転でクラッチミートしてもスムースに走れる。日本人がMT車の運転が難しいと感じるのは、クルマの低速トルクが足りないからであって、BMWのターボエンジンならエンストすることもなく、車を発進させることが可能だ。

次に6速AT車に乗り換えると、ターボエンジンのトルクが一層増したような錯覚を覚えた。これはトルコン(トルクコンバータ)の制御のおかげであり、MT車以上に走りやすい。今回、採用されたZF社製の6速ATはトルクコンバーターにトーショナルダンパーを装着し、変速のスムースさが向上している。しかも、エンジン回転を100回転ずつ、きめ細かく制御しているおかげで、スムースな加速感だ。

例えば、ターボのブースト圧が高まるまではトルコン内のロックアップは見送られ、ブースト圧が最大に達するとロックアップが解除される。その結果、よりダイレクトな走りが味わえるという訳だ。

こうした緻密な制御を施したため、ターボとAT車という一見、燃費が悪化する組み合わせでも、実際の燃費は素晴らしく仕上がっている。V8エンジンと比べると20前後、燃費向上が期待できるといわれている。

このように、欧州では環境技術が自動車の魅力の大きな要素として進化している点が見逃せない。

技術だけが先行する日本の環境技術では、自動車の愉しさや魅力とどう向き合うことができるのか?──大きな曲がり角に来ていると、私は感じている。

なお、BMWの新型ターボエンジン(BMW335i)のインプレッションや、グローバルな視点に立った環境問題の話題は、私が主宰する動画サイト(http://www.startyourengines.jp/)ビデオブログで見ることができるので、興味のある方はぜひアクセスしていただきたい。

清水 和夫(しみず・かずお)

プロフェッショナルなレースドライバーとして国内外の耐久レースで活躍する一方、自動車ジャーナリストとして活動を行っている。ドライビングを科学的に分析する能力はクルマの正確な評価にも生かされ、シャープな論評は支持者が多い。

ジャーナリストとしては国内だけでなく、海外にも活動を広げ、自動車の運動理論、安全、環境、ITSのみならず、自動車国際産業論にも精通し、多方面のメディアで執筆活動を行っている。本年10月には、日本放送出版協会より「ITS」を出版。

ボランティア活動としては、CRS普及活動を行っている「子供の安全ネットワーク・ジャパン」、「妊婦のシートベルト着用を推進する会」などの会をサポートしている。近年は、救急法(ファーストエイド)・AED(除細動器)の普及活動も行っている。


主な連載誌
『NAVI』、『ENGINE』


主な著書
 「ITSの思想」(日本放送出版協会)、「ディーゼルこそが、地球を救う-なぜ、環境先進国はディーゼルを選択するのか?」(ダイヤモンド社)、「クルマ安全学のすすめ」(日本放送出版協会)、「燃料電池とは何か-水素エネルギーが拓く新世紀」(日本放送出版協会)などがある。


著者のブログ
清水和夫の【みんカラ】ブログ「頑固一徹カズです!」
清水和夫の動画サイト「Start Your Engines」

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