ついにBMWもガソリン直噴ターボを実用化
元々、航空機のエンジンメーカーであったBMWが、このほど環境を視野に入れたターボエンジンを開発したと聞いて驚いた。この新エンジンは3リッター6気筒のガソリン直噴にツインターボを組み合わせたもので、まず始めにBMW3シリーズのトップモデルである「クーペ」に搭載された。
ここでガソリン直噴ターボのスペックを簡単に見てみよう。
排気量3リッターのガソリン直噴ターボは、定評ある直列6気筒エンジンをベースにしている。このツインターボ・エンジンは最高出力こそ306ps/5800rpmと控え目であるが、最大トルクはなんと40.8kgm/1300-5000rpmと、V8エンジンを積むBMWと同じパフォーマンスを得ている。
VWの「ゴルフ1.4TSI」と同じように、エンジンをターボで過給し、排気量をダウンサイジングすることで「パワーと実用的な燃費」を両立しているのだ。このエンジンは6速オートマチック(AT)、もしくは6速マニュアル(MT)が組み合わされる
ツインターボは日本の三菱重工製で、最高回転数は20万回転まで耐えることが可能である。その直径は4cmと小型だ。このエンジンを搭載したBMW3シリーズ クーペは6MTで0-100km/h加速が5.5秒、最高速度が250km/hとスポーツカー並みのパフォーマンスを可能にしている。
いずれにしても、たったの1300回転で最大トルクを発生することは驚きだ。ディーゼルよりも低回転で最大トルクが得られるのは、ターボのブースト圧がディーゼルよりも低いから可能となる。
今回、BMWが開発したガソリン直噴は「精密噴射(スプレーガイド方式)」と呼ばれ、その技術的な特徴は「ピエゾインジェクター」を使うコモンレール方式である。燃料の圧力は50~200bar(バール)と、ディーゼルエンジンの1600~2000barほど高圧ではない。ディーゼルエンジンの場合、読者の皆さんもご存じのように圧縮比がガソリンエンジンに比べて高いので、より高圧で燃料を噴射する必要があるわけだ。燃料噴射の回数は精密に制御された結果、ガソリンで3回(プリ、メイン、ポスト)と、ディーゼルの5回よりも少ない。
では、ターボの過給圧はどのくらいなのだろうか。今回、BMWが開発したガソリン直噴ターボは1.6barとなっている。ディーゼルエンジンが2.5barであることを考えると、ガソリン直噴ターボの過給圧の方が低いのが特徴だ。
ところで、この直噴ターボエンジンは、今までの3リッター6気筒エンジンを完全にベースとしているかというと、そうではない。自然吸気エンジン(ポート噴射方式)はマグネシウムとアルミニウムを使ったハイブリッド素材で軽量化を実現しているが、ターボはエンジンの発生トルクが大きいので、さらに剛性と強度が高いアルミブロックを採用しているからだ。
さらにターボ化に伴い、ボアは85mmから84mmへと小さくなった。従来の自然吸気エンジンとの比較では、ターボなどの補記類を含めると重量は約30kg重くなっているが、同じ400Nmというトルクを発生するV8エンジンと比較すると、約40kgも軽く設計されている。
BMWの6気筒はごく一部のスポーツモデルを除いて、3リッターまで、と決められている。その理由は、BMWの6気筒エンジンはBMW1シリーズから7シリーズまですべてのモデルに搭載することを前提としており、そのレイアウト上の制約からエンジンを“大きくしたくない”のである。したがって、排気量は3リッターまでとし、足りないところをターボで補うわけだ。まさにパワーと燃費性能を両立する考えである。

BMW 3シリーズ クーペ

BMW 3シリーズ クーペ エンジンルーム
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