人とクルマと地球の良い関係!
第4回 2007年アメリカ・デトロイトショー
自動車の産地デトロイトでお披露目されたGMの“iCar”
アメリカの自動車産業のお膝元であるミシガン州デトロイトで、毎年恒例の自動車ショーが開催された(一般公開:2007年1月13~21日)。年明け早々にこのデトロイト・モーターショーに参加したが、世界の自動車メーカーが環境問題に対してどんな考えを持っているのか、興味は尽きない。ところで、デトロイトは世界の自動車産業にどのような意味を持っているのか、その辺の話から始めることにしよう。
自動車関係者ならよく知っている通り、デトロイトは1900年初頭にヘンリー・フォードが世界で初めて自動車を量産したことで知られている町だ。デトロイト空港に降り立ち、市内へ向かうとすぐにディアボーンというデトロイト郊外の町が出てくるが、実はここがフォードの本拠地である。その広大な敷地は100年前から自動車を作り続けているという誇りが感じられる場所だ。
フォード社の敷地の中にあるヘンリー・フォード・ミュージアムに行くと、20世紀のアメリカの自動車発展の歴史が手にとるように分かる。自動車だけではなく鉄道や航空機、あるいは自動車の発展と共に変化した様々なライフスタイルも知ることができる。
デトロイトはフォードだけではなく、ゼネラルモーターズ(GM)やクライスラーも縁が深い。つまりここではアメリカの自動車の“産地”なのだ。その意味でもアメリカの自動車産業を知るにはデトロイトはとても重要な意味を持っているわけだ。
今年のショーのハイライトは何か? 地元の新聞やTVでは「大きなSUV作りの名人がコンパクトなハイブリッドを開発するようになった」と盛り上げている。GMもフォードも、燃費が優れた次世代のクルマのパワープラント作りに余念がないことは間違いない。私の印象ではGMの「シボレー・ボルト(Chevrolet Volt)」というハイブリッドカーに、技術とデザインの新しさを感じた。
GMは地球に優しいクルマの第一弾としてこのシボレー・ボルトを開発し、今後のトレンドを作りたいと願っている。社内では「アップル社が発案した“iPod”にちなんで“iCar”と呼び、モチベーションを高めていた」とB.ラッツ副会長は記者会見の席で述べている。というのは、このハイブリッドは今まで日本メーカーが開発してきたハイブリッドとは根本的に異なる「プラグイン方式」(外部電源から電気を充電する)と「シリーズ型」(エンジンを発電機として使うシステム)のハイブリッドシステムを持っている点がユニークだからだ。パワープラントには大型のリチウムイオンバッテリーと電気モーター、さらに1リッター3気筒のガソリン・ターボエンジンが搭載される。
デトロイトショーの1カ月前の2006年11月末に開催されたLAショー(ロサンゼルス)では、今までの戦略を置き組み直したことを告白している。単なる人気取りのショーカーを披露するのではなく、もっと実現可能な技術(Promising Technology)に集中するべきであると述べていた。
ブッシュ政権が推し進める「フリーダムカー構想(Freedom Car))は、輸入石油に頼らない自動車の開発を意味するという“エネルギーセキュリティ”の側面が強いが、GMは温暖化対策も極めて重要だと考えている。
今回、発表されたシボレー・ボルトは電気自動車の発展型と見ることもできる。90年代に起きたカリフォルニア州のZEV法案(ゼロエミション法と呼ばれるもので、排気ガスをゼロにする自動車の開発を促進した法案)を引き合いに出し、その時から電気自動車の可能性を取り組んでいたことを強調している。
当時の技術では電気自動車の実用化は困難だった。充電で時間がかかり、航続距離も短かった。どんなに環境に優しい技術でも、ユーザーが振り向かなければ意味はないことを悟ったのだ。実際にメーカーが多大なインセンティブを支払っても、電気自動車は普及できなかった。しかし、GMは諦めたわけではなかった。電気自動車の性能を向上させることに執念を燃やしていたようだ。
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