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第32回 [韓国編]自給率低迷という危機の本質

2008年11月18日

ノンフィクション作家=島村 菜津氏


国産品だけの巨大スーパー「ハナロマート」

「ここでは、“環境農業とともに育つ農協”というスローガンを掲げています」

農協の会長がそう口にしたのを耳にして、私たち日本人の面々は、驚いた。若い農家の朱亭魯(ジュ ヒョングノ)さんが4年前に、合鴨米の話を持ちかけたとき、農協側は協力することを即決したという。除草剤や農薬で収益を上げてきた農協が、なぜ、そんな思いきった決断に踏み切ったのだろう。

その頃、この農協では、ソウル市内にある生協など38の消費者団体と大手加工食品メーカ-と取引していたが、消費者側からも農薬を使わない米へのニーズが高まっているのをひしひしと感じていたそうだ。

2000年初頭には、10カ所以上の農協が、環境保全型の農業宣言をしている。朱さんの村は、その先頭を切っていたのである。

それだけではなかった。韓国の農協は、ソウル市内に国産品にこだわった大型スーパー「ハナロマート」を経営しており、これが世界から評価されていた。国内には、約1400もの農協があったが、この大型スーパーだけで、約600の農協と取引していた。

朱さんの無農薬米はきっと売れる、そう見込んだのだった。

「ハナロマート」のあまりの大きさにも呆気にとられたが、話を聞けば、これは、そもそも日本中に1万カ所もあるという直売所に発想を得たものだという。そして、日本独自の集配所のシステムと、アメリカ型の量販店のスタイルを合体させたのだ。

面白いのは、カートにバンバン野菜を詰め込み、大量買いしているおばさんの隣を、野菜を入れたダンボール箱の運搬機が太田市場のように右往左往している。問屋が小売と一体化した初めての大型店ということもあり、世界からの視察も絶えないということだった。

派手な建物だが、宗教団体の本部などではなく、ハナロマートである

派手な建物だが、宗教団体の本部などではなく、ハナロマートである
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