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第11回 フェアトレードのコーヒーの真実

2008年2月13日

ノンフィクション作家=島村 菜津氏

いよいよコーヒーの産地へ

グアテマラとメキシコの国境へと続く谷

グアテマラとメキシコの国境へと続く谷

「君たちが見学させてもらうのは、ラ・リベルタードという産地にしたよ。あそこなら、イリアーナというフットワークのいい女の子がいるから、ひょっとすると自宅にも泊めてもらえるかもしれない」とマンリッケ(※)が言う。


※編集部注:
高山の小さなコーヒー農家のために、イタリアへのフェアトレードを実現させた功労者の1人。詳しくは第10回を参照。


そして、早朝、ウェウェテナンゴをたって、国境近くまで案内してくれながら、ラ・リベルタードへと登る山道の麓(ふもと)で車を止めて、イリアーナを待とうと言い出した。ところが、彼女もまた、アスタ・マニャーナ魂の権化なのか、1時間半も待たされた。おかげで、私たちは、そばにあったドライブインで朝食を済ませ、ゆっくりとコーヒーを2杯もすすることができたのだった。

やがて駆け込んできた彼女は、「ごめんなさいねえ」と口では言ったものの、ちっとも申し訳なさそうではない。真っ白な歯を見せ、すがすがしいばかりの微笑みを浮かべている。そのあまりの悪びれなさ加減に、待たされた鬱憤(うっぷん)も、いつしか雲散霧消していくのだった。

待たされている間も、グアテマラ名物、乗合いトヨタのトラックの荷台に子供たちまで20人は詰っているのを目撃したが、イリアーナの車もまた、グレーのトヨタ。兄貴から借りたのだという。

やがて、マンリッケにお礼を言って別れ、この車が走り出すやいなや、なぜ、彼が自分の車で村まで送ってくれなかったのか、わかった。もうとんでもないでこぼこの坂道である。とてもじゃないが、こんな乱暴な山道で、愛車を傷めつける気になれなかったのだろう。単に、運転に自信がなかったのかもしれない。

登り口だけ申し訳程度に舗装されていたが、後はほったらかし。ラ・リベルタード、自由という名の村へと続く山道は、それほど壮絶だった。

常にポジティブな女性、イリアーナは、なかなかまとまりにくい個々の生産者たちの束ね役

常にポジティブな女性、イリアーナは、なかなかまとまりにくい個々の生産者たちの束ね役


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