第31回 引っ越しで捨てられた家具の使い道
家の寿命が短ければ、家具の寿命も短い?
今から50年ほど前、私は米国のある地方都市に住んでいた。最近、それがどの辺りだったかをインターネットの地図検索システムで調べていて、その家の現在の状態を写真で見ることができることを知った(編集部注:googleマップのストリートビュー機能)。
このところ、テクノロジーの進化に慣れてしまって、よほどのことがないと驚かなくなってしまったが、これには少なからず感激した。もちろんリアルタイムの映像ではないのだが、そう何年も前に撮影したものではないことは道路脇に止めてある車の年式からも明らかだ。
何よりも感動したのは、その家が50年以上経った今も、ほとんど何も変わっていないという事実。そればかりか、周りの一区画ぐるりと見渡してみても(そんなことができるのだ)、ほとんど当時と変わっていないということだ。
お向かいのガレージの扉も、仲の良かった友人とよく並んで座って話をした、彼の家の玄関ポーチも、当時の白黒写真と記憶の中の色彩のとおり、ちゃんとそこにある。地方都市郊外の木造平屋の一戸建てだ。決して高級でも上等でもない普通のつくりの木造住宅が、半世紀以上も平気で使われてきたのだ。
欧米に比べて日本の住宅の寿命が極端に短いことは知られている。日本にある私の実家の周りを見ても、50年前と同じ家など一軒も残っていない。
家の寿命が短ければ、その中で使う家具の寿命も短い。安くて短命な製品を使っては捨て、使っては捨て、その都度、新しいものを買ってこの国の経済は回ってきた。だから引っ越すときに、それまで使っていた家具を捨てていくのは、当たり前なのかもしれない。
関東一円をテリトリーとする運送業者ウインローダーは、引っ越し業務も行うが、持っていく荷物を預かるだけでなく、多くの家具の処分の依頼も引き受けている。その家具の多くがまだ使えそうなものであり、すぐに捨ててしまうのはもったいないと、彼らはその一部を巨大な物流倉庫にストックし始めた。
その活用方法はないものだろうかと相談を受けたのは、東京造形大学のデザイン学科にサステナブルプロジェクト専攻領域を開設した、今から5年ほど前のこと。「Re-ariseプロジェクト」の立ち上がりである。
1つの椅子を分解し、2つのものを作った。素材となる椅子を余ることなく使った作品(In a body [stool] & Round about [Low table] Four DimentionalStyles/春山恵介)
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