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第26回 日本の森林伐採を阻止する再生紙ボード

2008年8月1日

デザイナー=益田 文和氏


日本の森林伐採を食い止めるために
米国政府が開発した再生紙ボード

1995年だったと思うが、かつて同じ事務所の同僚であったデザイナー、アンソニー・グイドを訪ねたときのことだ。当時、彼のスタジオはサンフランシスコ(米国カリフォルニア州)にあった。彼は1枚の板を取り出し、私に見せた。

それは1m×2mほどの板で、片面が六角形の穴……というか、へこみで覆われている。ちょうど蜂の巣のような形だ。聞くと、特殊な成型法で作られた再生紙ボードだという。2枚のボードの穴の開いた面と面を接着すると、ベニヤのフラッシュ板(木枠の両面に板を張りつけたもの)にも匹敵するような強じんな板になる。

これが、私が「グリッドコア」という話題の新素材を見た最初だった。

接着前のグリッドコア

接着前のグリッドコア。ボード一面に蜂の巣のような六角形のへこみがある

切れ端のサンプルと資料を持ち帰って調べてみると、元々は米国の政府機関が開発したものらしい。基本特許を取ったあと、普及のために民間にライセンス供与したのだ。さて、その開発の目的はというと、なんと当時、盛んに批判されていた日本の業者による熱帯雨林などの森林伐採を食い止めることなのである。

バブル景気による建設ラッシュの中、次々と建てられるビル。日本に輸入される木材の多くは、そのコンクリート型枠として使われ、用済みになるとそのまま捨てられていた。その型枠を、再生紙に置き換えられないかということだったらしい。

ところが、ライセンスを取得して生産を始めた民間企業は、その軽さと強さとリサイクル性の高さから、展示会のブースやディスプレイ什器、舞台装置といった仮設の構造材料としての可能性に注目し、欧米のデザイン関係者を中心に営業していたようだ。

もっとも、仮に日本の建設業界に営業したところで、グリッドコアが発売されたころには日本のバブルははじけてしまっていた。建設業も構造不況期に入っていたから、開発当初の目標であった型枠の需要は既に見込めなかったかもしれないのだが……。

展示ブースにグリッドコアを使用した例

展示ブースにグリッドコアを使用した例
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